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天才児の育て方

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知人のピアノの先生で、優秀な生徒さんを輩出する先生がいます。
息子さんがいてピアノはしていないそうですが、いわゆるエリート街道を行くような賢いお子さんです。 
その方はどんな教育方法をとられているのでしょうか。ご一緒できる機会があったのでお話しをうかがってみました。
 
小さいうちから何事も理論的に説明することを行っているとおっしゃっていました。これは小さいうちが大事なのだそう。私は、子供の場合はあまり説明しすぎはよくないといわれていたので、意外に思いました。
たとえば、いきなり頭ごなしに
「とにかくゲームをやってはだめです!」
ではなく、
「なぜだめなのか。でも、どのくらいまでならいいのか。どのようにやったらいいのか。どうしてそれが良いのか」
など、一から徹底して説明するのだと言います。
そして、質問にもできる限り理屈で答えるようにしていると仰っていました。感情的にならないというのがコツのようです。
 
お子さんが小学校1年のとき、お友達をお家に呼んでゲームをしていたとき、友達同士喧嘩になったそうです。
 
興味深く横から見ていると、息子さんは
「どうして良くないのか。それはこういう理由だから。今の状態は問題だから、公平な方法で順番を決めてやろう。」と仕切り始めたそうです。
そうすると周囲のお友達は、「何言っているかわかんない」「ゲームやりたい」と泣き出す子もいたと言います。小学校の先生には「理詰めで、リーダータイプですね」といわれたそうです。
 
「ずいぶん理屈っぽく育ってしまったと少し反省して、最近は”いろいろあるのよ”とか”そこをなんとか”という、人との調和をとって空気感を感じるように教えるようにしている。」
とおっしゃっていて、なんだか日本の社会人のようで驚きました。
 
その方は帰国子女なのですが、ご自分がアメリカの小学校から中学校で勉強なさり、そこでロジカルシンキングと自分を主張する方法を教えられたのだそうです。
「それができないと子供でも生きていけない。子供なりに生きるため必死だった」と言っていました。
 
ピアノのような感覚的なものでも、子供だからと言って「とにかく言われたとおりにやりなさい」ではなく、やはり説明が必要なのだということを再認識しています。
もちろんお稽古は、『守破離(しゅはり)』の世界でもありますから、有無を言わせずやることも必要なのですが、そこに説明くわえてもらえるともっといいのになと以前から疑問に思っていました。
 

思考のパターンというのは子供のときにできてしまうのだそうです。だから一番そばにいる親や、お稽古の先生の影響はとても強い。子供に対して、一人の人間としての尊厳をもち、良心からきちんと説明することが、人間としての基礎を築くことになるのではないかと思いました。
 
 
その先生は通訳のお仕事もなさっていて、最後に話したことが面白く思いました。
 
「でもね、外国人でも、あんまりはっきりつっこんで言うと疲れるみたい。有名な海外の音楽家で日本好きな人が多いのは、繊細なコミュニケーションが素晴らしいと評価している方が多いから。」
 
最終的に突き詰めればですが、「・・・ということは、日本のコミュニケーションは世界でもトップレベルなのではないか」という話しに落ち着いたというわけです。
 
日本人の良き面も忘れないでいきたいですね。

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