今、ほとんどの人が胸式呼吸になっています シンプルで確実な腹式呼吸トレーニング
良い声を出そうとするときに腹式呼吸が出来ることはとても大切です。
でも、実際やってみると腹式呼吸が出来ている人はほとんどいません。
トレーニングを始めた頃に、「まず深呼吸して腹式呼吸を行ってみましょう」と言って ほぼ100%の人が「胸式呼吸」だったという驚くべき事実があります。やはり一日中机の前で椅子に座っている生活になれてしまっているからでしょうか。
なぜ胸式呼吸と分かるかというと、深く息を吸おうとしたときに、肩が思いっ切り上がってしまうからです。
本来、腹式呼吸で肺の下にある横隔膜が上下して呼吸をすれば、お腹がふくらんだりへこんだりするだけで、肩は上がらないはずなのです。呼吸を胸だけで行ってしまうので、肩が一緒に上がってしまうのですね。
そして、そのクセは何十年も積み重ねられてきたせいかなかなかとれません。
しかし人間は寝ている間、無意識に腹式呼吸をしています。ということは、一日の3分の一以上・・・つまり人生の3分の一以上は腹式呼吸をしている腹式呼吸のプロなんですね。
だから本当は気がつけばすぐに出来るはずなのです。
でも、なぜか起きていると出来ない。
意識すればするほど出来ない。
そして、隣で細かくアドバイスしてなんとなく出来るようになってもぎごちなくて、発声のときは結局、胸式呼吸になっている。
胸式呼吸ですと、首周りや肩に無駄な力みが入り、声帯にストレスがかかってしまいます。また、肺が十分にふくらまず良い息が使えません。良い声のためには、よりたくさん息が必要なのです。これでは、いくらボイストレーニングを頑張っても、最終的に「お腹と喉がつながらない」という結果になり、残念ながら良い声が出ることはないのです。
声を出すだけがボイストレーニングではありません。
トレーニングには、ぜひ「腹式呼吸」の練習も入れていただきたく思います。
それでは、だれでも出来るシンプルな第一段階の腹式呼吸練習方法です。
◆腹式呼吸シンプルトレーニング その1
1、おへそのあたりに手をあてる。
2、先ほどの場所に手を当てながら「あ~」と言うつもりで口を開けて大きく息を吸う。そのとき、お腹が手を押し返すように出る。押し返している手の位置そのままで息を止める。手の位置があるお腹で我慢する。口は開きっ放しで。
3、ゆっくり10数えたら、一気に息をはく。手で押さえているお腹はへこむ。
◆腹式呼吸シンプルトレーニング その2
1、おへそのあたりに手をおく
2、「あ~」と言うつもりで口を開けて「はっ」と一瞬で大きく息を吸う。お腹が手を押し返すように出る。
3、手は当てたまま「はっ」「はっ」「はっ」と3回息を吐く。そのとき3段階でお腹がへこんでいくこと。息の量が3回とも同じ量で、へこみ方も3等分であること。「1,2,3」で息を吐き、「4」で息を吸うように4拍子のつもりで行うと良い。
4、また2に戻る。2~3を繰り返す。
その2は、腹式呼吸を行う上で使用するインナーマッスルのトレーニングにもなります。
腹式呼吸を確実にする方法は、 「寝ながら膝を立てて行う方法」もあります。でもこの方法だと、なぜか皆さん立つとまた出来なくなってしまうんですね。なので、今回はなるべく立った状態の呼吸でお腹の動きをつかんでみてください。