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「強く語る前に弱く語れ」 知的で説得力のある響きを手に入れるビジネスボイストレーニング『声帯閉鎖編』

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今日は、「強く語る前に弱く語れ」ということをお伝えいたします。
 
人に語るということは、何かを訴えたいから語っているはずです。そのとき「一番強く語りたいこと」。その言葉を言うときは、自分の持っている最高の強い響きの声を使うべきです。
大事なことを弱い声で言うケースもありますが、これはプライベートなときや狭い部屋に有効だと思います。
 
 
1~2分くらいのとても短いスピーチならば、言いたいことだけをまとめて強く言いきるという方法もあります。しかしそうではないスピーチや講演のときは、緩急をつけることが、言いたいことを伝える最も効果的な方法です。
 
全体の中で一番言いたいところの前には弱い声を使いましょう。
 
なぜなら、音の強弱というのは、比較の問題だからです。
 
人間の耳とは、同じ音を続けてきいていると慣れてしまうという習性があります。
同じ音量を聴かされ続けていると、強いのか弱いのか分からなくなってしまうのです。常に強い声だけを使い続けていたら、全体が弱く聞こえてしまうということもあります。
 
だから、いくら言いたいことがたくさんあって情熱が燃え盛っていたとしても、最初から最後まで強い声を使っていては、どこか大事だったのか聴いている方は印象に残りません
 
しかし、弱い声、または中くらいの声を使い続けていて、いきなり強い声がきたら、人はいやでも聞きます。
 
アドルフ・ヒトラーは演説のとき、最初は弱い声から始めています。そしてだんだんと盛り上げて、最後は自分で出せる一番良い声を使っている。
そうすると、聴衆は満足し、ある種のカタルシスに誘われるのです。
 
強い声と弱い声の差があればあるほど、強さ、弱さが生きてくる。
強い声を使いたかったら、弱い声を覚えるべきです。
 
ただ弱い声と言っても、スカスカで響かない声は何を言っているのか分かりません。
私は、良い弱い声とは、柔らかい響きをともなっていると考えます。
強い声を生かすための、「響く柔らかい声」を覚えてください。
 
柔らかい声とは、「声帯の閉鎖を緩くする」ということです。
しかし、自分がしゃべっているときに「声帯の閉鎖」など、普通の人は気にしないものです。それどころか、いつ声帯が閉鎖されたのか、など分からないことがほとんどだと思います。
ぜひ、声帯閉鎖の仕方をコントロールできることを覚えてください。
 
今日は、簡単な声帯閉鎖のトレーニングをお伝えいたします。

◆だれでもできる声帯閉鎖のトレーニング
 
1、顎を下ろして舌を十分にのばし舌先を下の歯につける。これが基本のポジションです。すべて基本のポジションのまま行います。
 
2、そのまま「は~っ」とため息をつく。ため息というのは意外にたくさんの息を使います。たっぷりとブレスをとるように。
 
ポイント:冷たい手を温めるときの「温かい息」です。この息を使うと気道が広く保てます。喉で「シャーッ」という雑音がしすぎると狭い証拠です。
 
3、良いため息がつけるようになったら、「h~あ~」とそのまま声につなぐ。「h~あ~」を繰り返す。
 
ポイント:「あ」と発声されたときに、声帯は閉じられています。「h」のときは声帯は開いている。「あ」のときは閉じているということになります。これを繰り返して声帯が閉じているということを意識できるようになります。
 
4、3が上手くできるようになったら、「あ~」の発声は、ため息の息を混ぜるようにして発声する。「h~あ~(息混じり)」を繰り返す。息の量を落とさないように。
 
ポイント:これが「声帯閉鎖を緩くした柔らかい響きの声」となります。

弱い声で響きを落とさないためには、声帯の閉鎖をゆるくすると同時に、たくさんの息を送り込んでください。腹式呼吸のトレーニングも同時に行うと効果的です。閉鎖の感覚を覚えたら、ご自分で声を聴きながら閉鎖の仕方を加減できるようになります。そして、その場にふさわしい声をチョイスしてください。

そして、このビジネスボイトレシリーズでも毎回繰り返しになりますが、やはり「心がそうなって」初めて声という技術が生きてきます。技術は身を助けてくれるのだと信じています。
 
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