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「人前で話すとき緊張してもいいんだよ」 知的で説得力のある響きを手に入れるビジネスボイストレーニング『本番編』

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「人前で話すときに緊張してしまう。」
「だからなるべくだったら話さないで済ませたい。」
そういう方、多いのではないでしょうか?
 
私も同じ気持ちです。
 
でも緊張を悟られない方法と、始まる前は緊張するけれど始まってみれば場を楽しむ余裕が生まれる方法があります。
 
それは、ボイストレーニングをすることです。
 
リハーサルをしたり資料を用意したり、磐石な準備をして臨んでも、本番で声が通らなかったり、何を言っているのか伝わらなかったら、意味がありません。
 
声が良いということは、内面は緊張していても、それだけで自信があふれて聞こえますし、同じことを言っていても深い内容に感じることがあります。
出てきたときに「この人大丈夫かな?」と思っても、自信のある声だったら「おお!」っと思いますよね。そうすると聴衆も引き込まれ「それで?つぎは?もっと聞きたい」となり、その無言の言葉はこちらに伝わります。そうすると、話し手も調子が出て言葉が降りてくる。そして、さらに良い内容になる。
 
講演やプレゼンは、聴衆との「一期一会の共同作品」なのです。
 
だから、「声が良い」ことは大変な武器になると思っています。
 
そして「緊張は良くない」と思われていますが、実は「緊張して良い」のです。
 
私は以前、競馬場でアルバイトしたことがあります。
レース前、診療所から装鞍所まで馬に付き添う仕事でしたが、獣医さんによると賢い馬やスターホースは、鞍をつけると、自分がこれからレースに出ることを自覚し緊張するのだそうです。鞍をつけた馬は、身体に力がみなぎり、眼光は鋭くなり、うっすらと汗をかいて毛並みがつやつやと光り、輝いて見えます。こういう馬は大抵良いレースをします。
 
実は、人間も緊張すると同じことが起こるのです。

「緊張する」とは一体どういうことなのか。
 
人間が緊張するとアドレナリンというホルモンが出て交感神経を興奮させるため、呼吸が多くなり、血圧が上がって、食欲も出なくなる状態になります。
人類の昔から、緊張状態というのは、戦うために必要なエネルギーを集中させる反応なのだそうです。敵(人間や獣)が現れたとき、酸素をたくさん送り込み、消化活動を停止しエネルギーを重要な器官に集め、血管を収縮し、攻撃されたとき出血量を抑えるという働きがあります。
また、緊張すると脳波は緊張を示すβ波になり、意識は分散し、考えなくてもいいような雑多なことが頭に浮かびますが、こうなることで、どの方向からの攻撃にも対応でき、あらゆる戦闘方法の対応策を瞬時に探り、選択することが可能になるそうです。
食欲が落ちたり、手が冷たくなったり、落ち着きがなくなるのはそのせいなのですね。やっと分かりました。
つまり緊張するということは、人間が生き残るために戦闘態勢に入ったことを意味するのです。
生きるか死ぬかギリギリのところで能力以上のものを引き出そうとする生命の知恵なのかもしれません。

(2010年8月10日のブログ「なぜ緊張してしまうの? でも緊張して良いのです」より)

だから、緊張している自分は「成功への第一歩を踏み出した」と思ってください。最大の力を発揮するための準備は順調に進んでいます。人前に立つとき一番魅力的に輝いて見えます。そのとき良い声はきっと助けてくれることでしょう。

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