女性の友人が
「あら?痩せた?」
と人から言われて少しがっかりしたと言っていました。
 
彼女は、昔から「痩せている」「痩せすぎ」と言われ続けていて、実は痩せていることを気にしていました。だから、「痩せた」と言われて喜ばなかったわけです。
 
一般的に、女性に対して「太った」という表現につながる言葉は気を遣うものです。なるべく言わないほうがいいとも言えます。
しかし、大抵の女性は「痩せたい」と言っている。だからと言って「痩せた」と言って喜んでもらえると思ったら、そうはいかないこともあります。
 
だから、人とコミュニケーションしようとしたとき、その方の心の境涯によって全く受け取り方は違ってくるのだと思います。
 
よく知っている人でも、良かれと思って不用意なことを言い、地雷を踏むことがあります。
初対面の方と仕事をする場合、それがもっと難しくなります。お会いする前に調べるにも限界があります。
 
それではどうすればいいのか?
 
知人のソムリエールは、プロとしての技術や知識も一流であるのですが、人を見抜く機知が天才的で、「この方がどんなことを言ったら喜ぶか」というツボがズバリズバリと当たっていく。超能力者かと思ったことがありました。
社会的にかなり偉い方に対しても、恐れを知らない大胆な言動をしてお客の心をつかんでいきます。よく見ていると、彼女に会いたいから食べに来るというお客さんも多いのです。
 
よく聞くと、彼女も昔は地雷を踏んでお客さんに厳しく怒られたことがあったそうです。
そのような経験をしながら、だんだんとお客さんの気持ちが瞬間的に直観できるようになったと言っていました。そして、辛いときはよく本を読んだといいます。
 
私は、人の心がわかるようになるには、その方がどれだけ苦労しているか、辛い体験をしているか。そして、その辛い体験からどれだけ学ぼうとし、感得しているか、なのだと思います。
 
例えば、同じように一生懸命やっているのに、なぜか同僚だけが上司に褒められた。ご褒美をいただけた。
なぜ自分はダメなのか。才能がないのか。
このときのみじめな気持ち。
 
辛いと思った、その自分の気持ちと逃げずに向かい合っていたら、もし次に、自分だけが褒められたとしても、周囲の人の気持ちが痛いほど分かるので気を遣うようになります。
 
自分自身、賞をいただけたときなどは、何もなかったように振舞っていました。何度も落選した経験があり、人一倍辛い思いをしているからです。
しかし、こんなとき「聞いたよ」と言って喜んでくれる方がいます。そういう方は大抵人生においてご苦労をなさっている方であることを知り、人の気持ちを知ることの意味を深く考えさせられます。
 
辛い体験、忌まわしい過去というのは早く忘れ去りたい。
しかし私は、この経験こそ人生の宝だと思っています。
 
ダイヤモンドは、丁寧に磨いて傷をつける、そしてまた磨いて傷をつける、という作業を繰り返しながら輝きを増していくといいます。
 
私は、苦痛に耐え、苦労した経験を噛み締め、内省し、そこから何かを感得する瞬間こそ、自分が成長し、豊かになっている、輝きを増しているときなのだと思っています。

永井 千佳

Special

- PR -
コメント
23hawks 2012/07/05 18:45

永井先生、はじめまして。23hawksと申します。いつも大変感銘深く拝読させて頂いております。初めて投稿させて頂きます。先生のおっしゃられることが心に沁みます。辛く苦しい経験をすることによって、本当に人の気持ちがわかるようになるということですね。ただし、その経験を正しく昇華していかないと、ただ世を拗ねるだけの、卑屈な人間になることもあります。私は昔、小学校の担任の先生から、言われた言葉があります。それは”艱難汝を玉にす”という言葉です。当時はあまりよく分からなかったのですが、歳を重ねるごとに少しは見えてきたような気がします。たとえ行賞を与えられなくとも、苦労を重ねて、心を磨くことによって、より大きな境涯、豊かな人生になることが、物や、お金には変えられない最大の幸福だと思います。自分の狭い枠の中だけでは見えないものも、人の気持ちを考えると見えてくるものがあります。まさに自己の殻を打ち破るとはこのことですね。分かったようなことを先生に申しあげまして、誠に申し訳ありません。常に謙虚で、感謝を忘れない人生でありたいと思います。今後とも健康に留意され、御活躍ください。ありがとうございます。

永井千佳 2012/07/06 10:46

23hawksさん
「艱難汝を玉にす」とは素晴らしい言葉ですね。hawksさんの言葉によりこの記事に豊かさを添えていただきました。感謝いたします。


コメントを投稿する
メールアドレス(必須):
URL:
コメント:
トラックバック

http://app.blogs.itmedia.co.jp/t/trackback/77444/29322571

トラックバック・ポリシー


» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

<!-- include:/nagaichika/profile_name.html -->永井 千佳<!-- dolphin=1 --><!-- /include:/nagaichika/profile_name.html -->

永井 千佳

ピアニスト・ボイストレーナー・合唱指導者

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のコメント
カレンダー
2013年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ