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ライフワークとしての学びを考えます。

優秀な人材が流出することを恐れない悪魔の笑顔

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偉大で尊敬する方のもとで働いたり学ぶことは、最高の成長につながるのだと思います。
 
素晴らしいご縁。いつまでもご一緒していたい。
そう思っていても、いつかは卒業する日が来る。
卒業証書が手渡されるのは一体いつなのか。
 
「プラダを着た悪魔」という映画があります。
 
ファッション誌のカリスマ編集長ミランダ役を、名女優メリル・ストリープが圧倒的な存在感で演じ切っていました。
 
女性ならだれもが憧れる、時代の最先端をいくファッション誌編集部が舞台。
 
メリル・ストリープ演じるミランダは、業界で名うての鬼編集長。頭がよくてセンス抜群。天才的な判断力で、彼女が「良い」と言ったら必ず売れる。
だから、彼女に気に入られて彼女のもとで1年働けばどこに行っても通用する、とまで言われているのです。
 
そして、ミランダのアシスタントとして、彼女の「無茶振り」に鍛えられ、目覚しい成長を遂げるアンドレア。
アンドレアは、横暴なミランダに反感を持ちますが、徐々にその人間的魅力にも惹かれていくのです。
 
しかし約一年後。
映画のクライマックスは、ミランダと成長したアンドレアの二人がリムジンの中で語る場面。
 
ミランダは
「あなたは私に似ているわ。人が何を求め、必要としているかを超え、自分のために決断できる。」
と、初めてアンドレアを褒めるのです。
 
しかし、アンドレアは、
「あなたのような生き方が嫌いだったら?」
と問います。
 
「バカを言わないで。誰もが望んでいるわ。誰もが憧れているのよ。」
 
そのミランダの返事が、卒業証書でした。
 
車を降りると、アンドレアはすぐさまミランダの下を去ります。
卒業証書は天から降ってきたように突然訪れたのです。
 
その後、憧れのジャーナリストとしての道が開けるアンドレア。実は強力なミランダの推薦があったことを知ります。
せっかく鍛え上げ、育て上げたアンドレアに去られたミランダの心の中はいかばかりでしたでしょうか。彼女ほどの力があったのならアンドレアを外に出さないでおくことなど簡単だったはず。しかし、ミランダは優秀な人材が流出することを恐れませんでした。
 
それどころか、映画のラスト。
 
始終クールだったミランダが、編集部のビルの前に立っているジャーナリストとなったアンドレアを見かけ、初めて温かく素晴らしい笑顔を見せるのです。
 
一人の職業人としても一人の人間としても大きく育ち、自分のもとから巣立った。
新たな夢を実現するために、タンポポのようにミランダの志は広がっていく。
 
エゴも、自分に近ければ近いほど「小我」でしかない。しかしそれを極限まで大きくしていくと「大我」になるのでしょう。
 
人として志を抱かせてくれる。素晴らしい映画でした。

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