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ライフワークとしての学びを考えます。

私は人の年齢を聞いた事がない

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世の中一般的には、先輩後輩の関係、年配の方には敬う気持ちを持つなど、年齢関係を大切にすることが多いですね。

 
ビジネスでは、年齢が若くてもマネージャーとなり、自分より年上の方が部下にいらっしゃれば、それなりに気を遣われるもしれません。

 
私は、音楽の仕事をしているので、年齢をあまり気にすることはありません。
音大でも、他の一般大学に比べれば先輩後輩の上下関係は薄く、久しぶりに会っても気が楽ですね。

 
特に、合唱に関わるようになってから、人の年齢はあえて聞かないようにしています。どちらかというと、仕事中は年齢のことは忘れている、と言ったほうがいいかもしれません。

 
例えば、合唱団にこれから入ろうとしている方でも、
「私もうすぐ還暦なんです。体力や技術、記憶力、いろんなところで、若い皆さんについていけるか心配なんです。」
とおっしゃる方にはこう申し上げます。
 
「音楽に年齢は関係ありませんよ。最終的には暗譜で2時間の舞台に立てるかどうか。良い稽古と時間を重ねれば、どなたでも出来るようになりますよ。10代でも、貧血で倒れてしまったり、暗譜がおかしくなる人もいれば、70歳で全体をリードするくらいしっかりしている方もいます。年齢ではなく、ご自分のペースをつかまれることです。」

 
そして、特に女声合唱団の場合、リーダーが「ああ、ここは50代60代中心だから」と年齢にしばられると、本当に老けた響きになります。「響きが落ちる」「響きが暗く、くぐもっている」という音楽になります。
 
私は彼女たちのことは、「お姫さまのように」「女子高生のように」扱わないといけない、と思っています。
 
そうすると、本当に彼女たちは、そういう声を出してくれます。
「響きが上がり、明るく遠くまで通る透き通った声」。
こうなると、人間の声を超越した、まるで楽器のような、純粋な音楽を作ってくれるのです。
表情も生き生きとして、皆さん美しくなられます。

私は、本気で皆さんの年齢を気にしていないので、あるとき「実は私55歳なんです」と言われた方をそれまで40代前半だと信じきっていて、大変驚いたことがあります。
 
本気で信じれば不思議なもので、こちらの気が通じるのか、皆さんアンチエイジングになられるのです。
 
年齢を言って、良い声を出していただけるのは、毒蝮三太夫さんぐらいの芸がなければ難しいでしょう。

 
あるアンチエイジングな女優さんがおっしゃっていました。
「私、ある年から年齢を忘れましたの。自分の年齢に気がつくと本当にその年齢らしくなってしまうんですもの。」

 
もちろん、年齢を重ねた気品や落ち着き、深みは素晴らしいものです。

 
でも合唱や音楽は、一生アンチエイジングなんですね。

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