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やはり低い声がきた アデル、グラミー賞受賞

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第54回グラミー賞にイギリスの女性シンガーソングライター、アデルさんが主要4部門のうち最優秀新人賞以外の3部門すべてを受賞しました。
 
アデルさんの歌声は、女性にしてはかなり低い音。
独特の低音が彼女の魅力でもあります。

つい先日亡くなった歌手のホイットニー・ヒューストンさんは、透明でパワフルな高音を得意とする歌手でしたが、まったく逆の個性を持っています。

最近アナウンサーの声がどんどん低くなっており、歌の世界でも低い声が注目されているのではないかと感じています。
 
昨年の2011年、アデルさんは声帯から出血を繰り返したため手術を受けたそうです。
グラミー賞の授賞式では「声を取り戻してくれた医師団に感謝したい」とおっしゃっていたことから、なんらかのトラブルを抱えていたものと思います。
 
楽器ならば、ストラディバリウスといえども、壊れたら修理すればいいし、大変高価ですが最悪買いなおせば良い。しかし、歌手にとっての身体的なトラブルは、代えが無いものです。ふと、ご自分の歌手生命を考える瞬間もあったかもしれません。
 
アデルさんは、音楽を表現するために低く強い声を使用することから、声帯に負担がかかりやすいかもしれません。
低音というのは、セクシーな響きで一見リラックスして歌っているように思えますが、実はリスクを抱えながら歌っているのです。

そして、低い声というのは話し声にも近い音域でもあるので、少しでも油断するとただ低いだけで、響きの薄っぺらなものになってしまいます。逆に、高い声は技術的な訓練なしには出ないものなので、必然的に作品になります。しかし、低い声は「すんなり出てしまう」ので、意外に声が作品になりにくいという難しさがあります。
 
低音から醸し出されるスモーキーな色合いは、心の琴線に触れて私たちを恍惚とさせてくれますが、実は、誰にでも出せるものではないのですよね。
 
授賞式で「ローリング・イン・ザ・ディープ」を熱唱し、トラブルを乗り越えてのその声は、心に染み入るような響きでした。
 
これからも、長く歌い紡いでいただきたい歌手の一人です。
 
それでは、本日はアデルさんの歌で「ローリング・イン・ザ・ディープ」を聴いていただきます。
 

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