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利益を追いかけお金をかけないところに未来はない 高い値段でもお客さんが来るための3つの条件

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フレンチの神様とまでいわれるジョエル・ロブションさんは、最高の料理人であり、優秀な経営者でもあります。
 
不景気のあおりを受け、高級料理店が店をたたむ一方、ロブションさんのレストランは、なかなか予約がとれないほどの人気店です。
 
ロブションさんは、「3つの条件さえ守れば高い値段をつけてもお客さんは来てくれる」と言います。
以下、3つの条件を、2011年7月11日~15日日本経済新聞「人間発見」より引用してご紹介します。
 
・・・・・(以下引用)・・・・・
 
1、良い食材を得る
 
店で使う生鮮素材は絶対に値切らない。わずかでも値切れば生産者は特別に美味しい食材をよそに回してしまう。支払いも迅速に。待たせたり遅らせたりしない。そうすれば鮮魚商人はその日入荷した素晴らしいタイを一番に融通してくれます。
食材ありき。利益を追いかけ、食材にそれほどお金をかけない人もいますが、そこに未来はありません。
 
2、技術を体得し仕事への情熱を持つ
 
高級レストランは自動車でいえばF1。最高のマシンを最高のエンジニアが整備する。プロフェッショナルな人材なしに実現するのは難しい。第1の条件にしても、その食材の必要性が分かるスタッフでなければならない。
 
3、人を愛する
 
仕事の基本は人を愛することです。そこで得られる満足は、個人としての満足と同じなのです。「また来ます」と言ってもらえれば最高に幸せです。それを見いだすことが料理人、経営者の最大の目的です。
 
そしてもう一つ、ロブションさんは、「レストラン」には経営も大事だと言います。美味しい料理を作る腕前だけではだめで、財務と人を管理することが必要なのです。ロブションさんは、大きなホテルで働き、経営を学んだ時期もありました。
 
・・・・・(以上引用)・・・・・
 
私は、ロブションさんを見ていると、どうしてもカラヤンのことを思い出してしまいます。
カラヤンは、音楽家であるのと同時に、素晴らしいビジネスマンでもありました。
カラヤンが亡くなると、口の悪い評論家に「一人の優秀なセールスマンの死」といわしめたほど、その手腕は並外れていました。
カラヤンは納得がいかない契約はしません。「嫌ならキャンセルします」と言うのが彼の決まり文句で、その代わり、お客さんは最高の音楽を心ゆくまで楽しめたのです。
彼が、音楽だけの職人であったなら、敷居の高いといわれるクラシック音楽はここまで一般の人に広まっていなかったでしょう。
 
「料理人として常に自問自答を繰り返し、完璧を求める。また企業としてはやはり、たゆまず投資をしていくことが必要になります。そして最も大事なのは『完璧には絶対に到達しない』と知りながら、それでも一歩ずつ進んでいくことなのです」
 
とロブションさんは言います。
 
「経営はアートである」とも言われます。
しかし、この二つが同時に存在するのは至難の業。
それができたロブションさんとカラヤンはやはり素晴らしいのだと思います。

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