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ピアノの「指使い」 見直すことで上手くなる

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ピアノの楽譜を見ると、一つ一つの音に細かく数字が書いてあります。これはなんでしょうか?
 
「指使い」と言って、どの音にどの指を使うのかを、校訂者が「こうするといいのでは?」と指定したものです。作曲家自身は、あまり指使いを自ら指定することはありません。
 
ただ、ピアノが達者であった作曲家は指定することはあります。
合唱団コール・リバティストで中田喜直の合唱曲を練習していますが、中田さんは親切にピアノ伴奏に指使いを書いています。
合唱の伴奏パートに指使いを書き込む作曲家はあまり見たことがありません。
前回の稽古で秋島先生がおっしゃっていましたが、中田さん自身ピアノが上手で、ピアノにこだわりのある人でした。
 
「ヴァイオリンなどの弦楽器は子供用のサイズがあるのに、なぜピアノにはないのか?」
「手の小さな子供に、オクターブのような幅の広い音程を弾かせるのは教育上よくないのでは?」
「これだけピアノを習う子供が多いのだから、鍵盤の幅が狭い小さいサイズのピアノを作ってはどうでしょう」
と提案していました。
 
実は中田さんは手の小さい人で、ピアノを弾くのに苦労されていた経験があります。自分用の小さなサイズのピアノを特注で作り、そのピアノを使って作曲していました。だから、中田さんのピアノ伴奏は音と音の幅が広いパッセージが平気で出てきます。この伴奏は、手が小さいと弾きにくいかもしれませんね。
 
私自身は、指使いは音楽性にも直結するほど大事なものだと思っています。
 
自分が表現したい音楽にするためにはどのような指使いにするか。私は決めるまでとても時間をかけます。作品を分析し、どこでどの指を使ったらいいのか、何度も吟味するからです。一度決めたら、その指使いをもとに暗譜します。
 
本番前に近づくと、感受性が敏感になっているので突然ひらめいて、どうしても指使いを変えたくなる場合があります。しかし、これは危険です。暗譜が危うくなるからです。できる限りがまんしてそのままの指で弾くことにしています。
 
ピアノの譜面の複雑さは見ているといやになってしまうことがありますよね。ただでさえ音がたくさんあるのに、そこに細かい指使いがぎっしり書き込んであったら、イマジネーションがストップして、練習する意欲がなくなってしまいそうになることがあるかもしれません。
 
そういう場合は、指使いのない版の譜面をもう一つ持っておくといいと思います。
私は、譜面に書いてある指使いは参考程度にしています。最終的には自分で決めた指で弾いているので変な指使いもあり、あまり人にご紹介できない場合もあるほどなんですよ。
 
どうしても弾けないとき、指使いを見直してみることをおすすめします。自分の手や音楽性に合っていないという可能性が大きいからです。
合っている指使いで弾くと、いとも簡単に表現できてしまうことがありますので、ぜひ試してみてください。

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