草刈民代の写真集「バレリーヌ」、究極のプロフェッショナルは肉体が語る
バレリーナの草刈民代さん。
美しく凛として、立っているだけでも華があるダンサーだと思います。
「Shall we ダンス?」の主役に抜擢され有名になりましたが、俳優たちに囲まれても、全く引けを取らず、その存在感は際立っていました。
草刈さんは、4月に公開された夫の周防正行監督の映画「ダンシングチャップリン」でラストダンスを踊っていますが、舞台のほうはすでに引退。まだまだ踊れそうだと思っていたので残念です。
そんな草刈さんは、2010年4月に写真集「バレリーヌ」を出されています。
草刈さんは憧れの女性。「なぜヌードになんか・・・」という思いから、ずっと買えないでいました。
しかし、「やはり彼女が全てを表現するからには何かあるに違いない」と思いなおし、一年以上の月日を経てやっと手に取ることができました。
一切の贅肉をそぎ落とした肉体の凄み。
ひたすらに長い時間、競争の日々を潜り抜けて、我々が想像を絶するような過酷な訓練を積んできたということが伝わってくる、美しいということを超越した写真。
衣装を着ていても、着ていなくても、全く変わらず格調高く存在している佇まいは見事でした。「ここにあるのは、ダンサーという鎧(よろい)をまとった演技者であった私の最後の姿」と草刈さんの言葉通り、ダンサーとして創り上げてきた肉体をそのものを作品として残されています。
もし草刈さんのことを何も知らなくとも、この人はバレリーナだということがすぐに分かるほど、その体は雄弁に語っています。女性ということ以上に、「バレリーナという生き物」なのだという気がしました。
草刈さんの踊りは、強い性格の女性や官能的な役で素晴らしい個性を発揮します。
舞台でどんなに笑顔を見せていても、ただ楽しいだけではない、ただ明るいだけではない。そこに一抹の寂寥感を漂わせる踊りは、彼女を最後の最後、本物の芸術家にまで高めていたと思います。
バレエは肉体労働で若いうちの芸術。
もう引退をしなければならないのは、見ていて切ない気持ちにさせられます。
しかし、ここまで稽古に耐え抜いて極めるのには、強い精神力が必要です。
これからも、女優としての道を極めてくれることと思います。更なる活躍が楽しみです。