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ライフワークとしての学びを考えます。

10人の組織でも分かり合えない理由 それはヌシがいるから

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社員16人の会社、コミー株式会社は、防犯や安全確認のためのミラーを作る会社です。
防犯ミラーの分野ではダントツのトップシェアを誇る会社。
 
社長の小宮山栄さんの本、「なぜ、社員10人でもわかり合えないのか」(日経トップリーダー編)を読みました。気付きをいただき、参考になったところを皆さんにもご紹介したいと思います。
 
小宮山さんは、「ヌシ化」は中小企業をむしばむと言います。
ヌシが発生すると、ヌシに頼るようになり、ヌシしかできないこと、ヌシしかわからないことが増えていく。ヌシを異動させると業務が滞るので、人事異動が制約され他の人もヌシ化しやすくなるそうです。仕事に縄張りが出来て、互いを理解できなくなっていくのです。
 
不慣れな新人社員が「やりにくい」と感じたことのほうを大事に考えます。そのおかげで仕事のルールを変えることもよくあるそうです。
 
「ヌシは新しい勉強をしたがらない。ヌシの力に頼りきりの組織は弱い。誰でも仕事が出来る仕組みにすれば仕事が日々改善される。コミュニケーション密度も高まり、少人数でも組織力がぐんと高まる。そういう仕組みにしていれば、必要に応じて外部の人に任せることもできるが、ヌシがいると柔軟性が失われる」と小宮山さんは言います。
 
ヌシ化を食い止めるために、小宮山さんは、社員に「なぜ?」を繰り返し問います。
「なぜこの仕事をこのように進めるのか?」一日何十回でも問いかけることで問題発見能力が高まるのです。
 
例えば、顧客が発注する際に商品番号を間違えてしまい、返品があった場合。普通ならばこちらのミスではなかったと安心するところが、コミーは違うのです。
「なぜお客は商品番号をまちがえたのか?」と追求します。執拗に繰り返して出た答えが「カタログがわかりにくくて商品を混同しやすい」という仮説。
 
コミーには誰にも肩書きがなく、新人でも発言できる環境にあります。そして社内には問題の発見者に向けた「大騒ぎしろ!」の貼り紙があるのです。
「大騒ぎして組織の問題に昇華させた時点で、ほとんど解決したようなもの」と小宮山さんは言い切ります。
 
コミーの、組織のヌシ化を防ぎコミュニケーションを高め、問題解決のために必要なポイントは3つ。

1、仕事が固定化するヌシ化は危険

2、どんな仕事も「なぜ?」と問い、改善を試みる

3、問題発見した人が「大騒ぎ」できる環境を整える

コミーのある社員が入社試験のときに、「もし仮に入社したとして社長が私に5年後期待されることは?」と質問すると、小宮山さんは「考え続けることだな。『社長がやれと指示したからやりました』と社員がそんなことを言ったら、俺は怒鳴りつけなくちゃいけないんだ」と言ったそうです。
 
それほど「なぜ?どうして?」と考え続けることが大事なのですね。
小宮山さんによると「過去・現在・未来」という3つの時空は「なぜ?」ということばによって結びつくのだそう。
 
私が、小宮山さんに初めてお会いしたのは5年前のことでした。
 
ごく普通のたたずまいを感じます。肩から力が抜けきっているとでもいいましょうか。緊張しながらご挨拶に向かったのですが、癒し系の雰囲気にほっとしました。
 
最初は会社勤めをしていたところ、「仕事がさっぱりできない」ことからコンプレックスに悩まされたとおっしゃいます。そんな小宮山さんがいまや世界で「絶対負けないモノ作り」のコミーの社長。
 
力をいただける方です。

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