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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

評判がいい人が報告したバグが修正される(MS Windowsの開発データの分析結果)

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ICSE(International Conference on Software Engineering)という国際会議で発表された論文「Philip J.Guo, Thomas Zimmermann, Nachiappan Nagappan, Brendan Murphy: Characterizing and predicting which bugs get fixed: an empirical study of microsoft windows, Proc. of ICSE 2010」に報告されている内容。

論文は、バグ票(BTSのデータ)とバグ修正に関係する人に着目し、その傾向を分析したもの。その結果を報告し、傾向をふまえた統計モデルを構築している。要因は以下のとおり。

  • 評判のよい人が報告したバグが修正される。
  • 同じチームの人で地理的に近くで働く人が報告したバグが修正される。
  • 年長の人や対人スキルが高い人が報告したバグが修正される。

これらの情報をもとにWindows Vistaを学習データとしてバグが修正されることを予測する統計モデルを構築し、Windows 7でその精度を試すと適合率、再現率ともに60%以上となったそうだ。

修正されないバグがあるのか?そんな理由でバグが修正されてよいのか?等たくさんの疑問が浮かんでくる実務者の方々に朗報がある。この論文の著者の1人であるT.Zimmermann氏と意見交換できる場を2011/12/9(本エントリ公開から1週間後!)18:15~ 東京田町で設定した。詳細は「ソフトウェア開発の定量分析ワークショップ(勉強会)」募集ページへ。参加は無料だが、参加登録が必要。

また、論文はこちらで公開されている。上は私がアブストラクトしか読まずに書いたものなので、詳細や正確なことをお知りになりたい方には論文本体を読まれることをお勧めする。

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