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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

現場指向のソフトウェア開発手法の導入後評価に"Time to market"

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Innovate 2010(日本語の紹介ウェブページ)というIBM Rationalの主催するカンファレンスに招待いただいた。カンファレンスは6/6から6/10まで米国オーランドで開催された。紹介Webによると参加者4000人規模のカンファレンスだそうだ。私はカナダで研究打合せ後、6/8から合流した。カナダのトロントからオーランドまでは2時間半くらい。日本からいったん東のほうまでいくと、ついでという感じだ。

非常に多数のセッションから構成されていた。一般的なカンファレンスと同様にInnovate2010のセッションもパラレルセッションとプレナリセッションに分類される。パラレルセッションは複数の会場で同時進行し参加者は聴講したいものを選ぶ。プレナリは大きな会場で参加者全員が同一のセッションを聴講する。Innovate2010ではプレナリは基調講演。その他、ワークショップやチュートリアルも開催される。プレナリセッション以外のセッションの雰囲気はIEEEやACM冠のつくような学会系の国際会議に似ている。1セッションには聴講者が50名以下のセッションもあり、プレゼンタがしゃべっている途中で「それどういう意味?」と、聴講者が質問をして、となりの聴講者が「これは~って意味だよ」と教えてあげるような、ほがらかな感じ。規模の大きなセミナーをイメージしていたので意外だった。

Rationalの開発支援環境を導入した効果の事例や開発支援環境に統合したソリューション、開発支援環境を使う上でのコツや工夫の紹介等、単に製品やソリューションの紹介ではなく、これから開発支援環境を導入しようとする人にとって必要な情報が提供されているセッションが多かった。

いつもどおり前置きが長くなったが本題に。。

比較的詳細な(現場レベルでの)適用事例のセッション(パラレルセッション)に共通する「効果」の項目に新鮮さを感じた。日本で適用事例の効果というと

  • 品質向上
  • コスト低減
  • 開発期間短縮

ではないだろうか。経営陣やマネージャならば、製品ライフサイクルの短縮やTime to marketの話を聞くことはあるが、事例発表として「開発期間短縮」ではなく「早期の市場投入」を評価項目として見ることは日本のソフトウェアに関するカンファレンス、シンポジウムでは、まだ少ないように思う。実際には、開発期間短縮は市場投入までのサイクルの短縮につながるはずだ。しかしながら、そのような視点で紹介されることは少ない。なんとなく「ソフトウェアを早く作れば早く市場に出せるかもしれないが、それは自分の仕事ではない」という感覚が表れてしまっているのではないかと感じる。単に短くするだけではなく、短くすれば何が得られるのかソフトウェア、サービス、製品にあわせて具体的に示すべきだと思う。

Innovate2010で聴講したセッションでは比較的現場レベルでの事例発表においても「time to makert」が含まれているものが多いように感じた。ここ(本ブログの過去エントリ)でも書いたが、いつでもリリースできるソフトウェアはビジネス的には非常に強いといえる。他社や市況に応じて出すタイミングをコントロールできるからだ。

日本人的感覚では「早く作れたんだから安くしてよ」と言われることをついついイメージして萎縮してしまう傾向があるように思うが「リリース時期の選択肢を広くできたんだから、むしろ多く払ってください」と言えるようになりたい。

ご自身のプロジェクトで何らかの新しい試みを評価する際にどのような項目を入れられるだろうか?「品質向上」「工期短縮」「コスト削減」「顧客満足度」が代表的な項目ではないだろうか。品質向上すれば、これまで難しかったサービスを提供したり他者がとれないリスクをとれるようになるはずだ。工期を短縮できれば?コスト削減できれば?顧客が満足すれば?とその先を具体的に考えなければならないはずだ。品質向上を絶対命題にして、そこで思考停止するのはもったいない。向上した品質で何ができるかを考えてみる必要があるだろう。

海外での聴講はそのような気づきを与えてくれることがある。Innovate2010以外にも聴講の候補はたくさんあり、「いいな」と思うものを選ぶのが適していると思うが、ここからで基調講演のビデオが視聴できるそうだ。主要な部分では講演スライドが映されるようなので、音がだせない環境や英語はちょっとという方でもそれなりに理解できるように思う。

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