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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

当ブログのあるべき姿 - オルタナブログ5周年の節目に

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人が集まるところには一定の雑務が生じる。一見オルタナブログはほとんど人手を介さずにブロガが好きなタイミングで投稿しているだけのように見えるが、事務局担当の方の努力の上で成り立っている。5周年という節目を迎え、まずは事務局に感謝する。また、他のブロガの方々との交流やエントリを拝見することで、私の見識は大きく広げられている。ブロガのみなさまにも感謝する。ありがとうございます。

本エントリでは、当ブログで意識しているあるべき姿と私なりのITmediaオルタナティブブログ全体へのフィードバックを紹介する。ここで「エントリ」はblogs.itmedia.co.jp/morisaki/以下の個々のページ(記事)を、「当ブログ」はそれらページの集合体全体を指す。

当ブログのエントリは常にあるべき姿を意識するようにしている。それは、ソフトウェア開発に関わる方々に何らかの気づきを提供すること。ソフトウェア開発は個別性が高く、どこかでうまくいったパターンをそのまま持ってきても、自分のプロジェクトですぐさま効果が出るようなものではない。調査結果、仮説、他所の事例を見ることで「自分のプロジェクトなら・・・」と特徴や制約を照らし合わせ、はじめて「あぁ、これなら使えるかも」「現時点ではこれはムリだ。」と判断することになる。

その前提では「これを使わずに何を使う!」「究極!~技法」「もうみんな使っている~」のような内容では、読者に本当に価値を提供することはできない。「~という制約のもとでは…が効果を発揮するそうだ。ご自身のプロジェクトではどうだろうか?」等の問いかけが必要であると考えている。そういう形でソフトウェア開発に携わる方にお手伝いできればと思っている。

私は幸運にも、前職でサービス/パッケージ、インテグレーション等の開発プロジェクトを経験させてもらうことができた。また、大学の研究員、教員になってからも多数の企業から相談を受けることができている。公開情報や共通の課題をもとに何らかの投げかけができる点で、私なりにソフトウェア開発に携わる方々へ何らかの気づきを提供できるのではないかと考えている。

そのような気づきを提供できるようなエントリとして、最近、賞賛の声を多数いただいたエントリを1つ紹介したい。「いつでもリリースできることはとても価値があるんだよ」これは、MIT Sloanのクスマノ教授が私が学生だったころに教えてくれた話をエントリにしたものだ。アジャイル開発の良さが内面から語られることが多い中「リスクが減る」「効率がよくなる」以外のビジネス面のメリットについても議論が起こってよいはずだと思ったからだ。どういう開発対象やどのような特徴のプロジェクトで、どのように使い分ければ、よりよい結果を生み出せるのかが明確になることが大事だと私は考える。

最後に、オルタナティブブログへの当ブログのフィードバックについて触れたい。当ブログからオルタナ全体へのフィードバックは正直なところかなり小さいと考えている。特に一般的で話題性の高いものを追い求めているわけでもなく、スピード感があるわけでもない。私はオルタナブログのおもしろさの1つは、特化された専門性を持つブロガの集まりであると考えている。「あそこにいけば、いろんな専門家の意見や感想が読める」というものだと考えている。当ブログをそのような、少数の読者にしか有益でないかもしれないが、専門家としての意見を発信できる場所にしたいと思っている。オルタナブログのそのようなイメージが強めることができていれば幸いだ。

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