オルタナティブ・ブログ > 森崎修司の「どうやってはかるの?」 >

計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

GQM+Strategies

»

IPA SECのWebに「GQM+Strategies手法の適用(リンク先のページの下部)」という資料が掲載されている。ヨーロッパ最大の研究機関FraunhoferのInstitute of Experimental Software Engineering(IESE)との共同研究の資料だそうだ。Fraunhoferは少し前にmp3の特許の話で聞いたことのある方も多いのではないだろうか。

GQMはGoal Question Metricの略で、明確な目的を設定しその達成度を測るためにどのようなメトリクスを収集すればよいかをトップダウンに決めるための手法だ。

GQM + Strategiesは企業組織の様々なレベルにおいて目的を明確にしようとしている。たとえば、経営層の目的は収益拡大で、そのための戦略として新規契約獲得、代理店チャネル拡大、それを具体的に測るメトリクスとして顧客数、稼働代理店数が挙げられている。また、システム開発部門での目的は期限遵守、品質保持が挙げられており、その戦略として開発ツール導入、新たな技術、メトリクスとして、レビュー数、ドキュメント数、開発過程でのバグ数が挙げられている(これらの間の関係をどう解釈してよいか私にはついていけていないものもある)。

元々GQMでは「誰が」を明確にすることが大事であることが言われているが、ソフトウェアやシステムを中心として組織のレベルで「誰が」を決めるようには言われていない。GQM + Strategiesでは経営層やシステム企画部門、システム開発部門等の「レベル」での「誰が」を定義することを手順に含めているようだ。このあたりは新しそうだ。

これまでに区別をしていなかったり、気づいていなかった「誰が」を明確にできる可能性がありそうだ。

余談だが、私の研究グループでも今年の2月からIESEのTesting and Inspection divisionとレビュー/インスペクションに関して連携をしている。ThinkITの記事の共同執筆ソフトウェアインスペクションワークショップ2009の開催等している。

Comment(0)