計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

『トヨタが気前よくカイゼンを教える本当の理由』から学べること

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@IT MONOistの記事「トヨタが気前よくカイゼンを教える本当の理由」を読んだ。「ものづくり経営サミット」での東京大学ものづくり経営研究センター センター長 藤本隆宏教授のご講演が中心になっているそうだ。記事は去年のものだ。

その中に以下のような記述がある。

一流の会社は固有技術に絶対の自信を持っているし、確かにその部分は素晴らしいのだが、そこから少し外れたところに、モノづくり技術の面からみれば大きな穴が開いていることが多いという。そして固有技術ではない部分をカイゼンするためには、モノづくり技術は産業を超えて共有できるのだという視点が大事だと指摘する。

トヨタは日本全国でカイゼンを教えており、教える一方じゃないかと思われがちだが、教えていきながらその中から学んでいる。逆に、学ぶべきことがいっぱいあるから、トヨタはああやって気前よく教えているのではないだろうか、というのが藤本氏の推察である。

教えながら学んでいくというのは同感だ。また、同記事では業界内で学ぶことや業界内のベンチマークにこだわりすぎると視野がせまくなる可能性を指摘している。トヨタに限らずだと思うが、お願いすれば意外といろいろと教えてくれるもののように思う。私もいろいろ勉強をさせていただいている。そのため、なるべく知らないことを教えてもらえるようお願いしている。そのとき「この状況だとこうなる」ということをなるべくセットで考えるようにしている。決して、状況や事情を考えずに「この程度のことだから、これくらいしかできない」という結論を持たないようにしている。それなりの状況・事情(コンテキスト)があり、その結果があるからで、それを見落とすとそこから勉強できることは激減してしまう。メンバの能力等と結論付けるのは非常に簡単だが、そうしてしまうと学べることがなくなってしまう。

ソフトウェア開発の場合、目ですぐにわかったり客観的計測値がすぐさまわかるというものではない。上述の記事の設備、在庫、流通というのが何に当たるかを考えるのもそれなりに難しいと思う。当たり前だが、上の記事で紹介されているものはモノづくりという点で共通しており、設備、生産、在庫、流通等の共通部分が存在する。

ソフトウェアでは、手始めに、エンタープライズ、組込み、自社サービス・パッケージを手がける異なる組織から学んでみるのはどうかと思う。これらの組織ではソフトウェアを対象としながらもかなり異なっていることをやっている場合が多い。法規制の存在や商習慣が異なっていたりというのが理由の1つだが、これらの間で、他組織のやり方をみたり、知らなかった計測の観点やプロセスから学ぶことは多いのではないかと私はよく感じる。そうすると一方ではある制約の下での工夫が、実は制約のない他方にも使えるということがわかる場合があるように思う。そのとき「あそこは、うちとは違うから」と結論付けるのではなく、「あそこの状況・事情はこうだから・・・」と状況・事情と結果を結びつけることに留意いただければと思う。

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