オルタナティブ・ブログ > 森崎修司の「どうやってはかるの?」 >

計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

プロジェクトマネージャの忙しさをはかる

»

IPA/東芝 平山氏の奈良先端科学技術大学院大学での講演「組み込み業界の現状について」の中の1トピック。組込みソフトウェア開発の特徴/状況と計測項目について興味深いお話を伺った。ここ半年で、IPA 田丸氏、兵庫県立大 中本教授、SEIのCEOをはじめ様々な方から奈良先端大でエンピリカルソフトウェア工学に関するご講演があったが、今回もその1つ。

ご講演は組込みソフトウェア開発にまつわる考慮すべき点がコンパクトにまとまったものだった。計測の観点でおもしろいと感じたのは「リスク項目の滞留時間」の計測。組込み開発に限った話ではないが、一般にプロジェクト進行中に定期的にリスク抽出や対応状況の確認を実施する。抽出されたリスク項目1つ1つについて、リスクとして認識された時点から解決されるまで(滞留時間)を計測し、平均滞留時間を求めた事例が紹介された。

計測結果はリスク管理、対策という観点でプロジェクトマネージャの忙しさを示しているといえる。計測結果は、マネージャが担当するリスクの平均滞留時間が他のメンバが担当するリスクの平均/滞留時間よりも長くなる傾向がある(調査された中では5倍近く長い)というものだ。マネージャなので解決が難しいリスクを担当していることを示しているだけ、という可能性もある。しかし、プロジェクト経験がある方なら、実感としてプロジェクトマネージャに仕事が集中しがちであることを感じているのではないだろうか。それを数値としてあらわしたいい例だと思う。滞留時間はプロジェクトマネージャ、リーダ、担当者等で分類されていた。計測結果からマネージャの仕事を分散すべきという点を話されていた。

EPM Pro*でも同様に不具合の平均滞留時間を計測し、人員追加の効果が出ているかどうかを計測している。開発のフェーズ毎に平均滞留時間をまとめたり、不具合の原因毎の平均滞留時間、不具合が発生した機能をきちんと切り分けられる場合には、機能毎の分類により平均滞留時間を知ることができ、対策や改善のきっかけとすることができる。

Comment(0)