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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

Google ソフトウェア事業へ注力

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ITmediaの記事 (Google CEO、ソフトウェアへのシフトを表明)にもあるが、Googleがオンライン広告以外の収益源としてソフトウェアを位置づける発表をしたそうだ。

ソフトウェア(Googleの場合それにより提供されるサービスなのかもしれないが)に対して対価をもらうことによるデメリットはそれなりにある。先鋭的なものや規模の大きなものであれば、なおさらであるが、期待される信頼性や可用性を提供するのはそれほど簡単ではないだろう。また、サポート体制やサポートコストについても増強が必要だろう。もちろん、ソフトウェアから直接収益が得られることは健全であり、収益を上げることを前提とすることがきっかけとなって開発プロセスやアーキテクチャが洗練されたり新たなものが現れるチャンスでもある。(私が既成概念にはまっているせいかもしれないが)それなりの規模のソフトウェアからから収益を得るためには、定量的な管理か同等の開発支援が必要になるのではないかと思う。計測による弊害があることは否定しないが、モチベーションの高いGoogleのエンジニアであれば、測ることはエンジニア保護につながるはずである。前の記事の元となったセミナで聴講した範囲でその体制を変えないならば、ソフトウェア自体から収益をあげることはエンジニアへの責任、負担が大きくなるのではないかと思う。

7, 8年前に、マイクロソフトシークレットの著者で知られるマイケルクスマノ氏が来日したときに講演を聴講し、その後ミーティングした。当時聞いた話では(著書にも書いてあるが)、マイクロソフトは自らのソフトウェアの信頼性とサポートコストに苦しめられ、開発体制や開発プロセスを大きく変えたそうだ。最近になって、Vistaの大規模化によりそのプロセスもまた刷新されたのではないだろうか。Googleのソフトウェア事業への注力により、新たな開発プロセス、手法が出てくるのではないかと楽しみにしている。Googleはサービスインフラの一部を講演したり、論文として公開するなど、自社の技術を世界にフィードバックしてくれる会社である。ぜひ開発についても一部は公開してこの分野の底上げにつなげてほしいと思う。

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