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白人専用車両が差別なのに、女性専用車両が差別でないと言える理屈

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女性専用車両が差別だと騒がれて落ち着かないようです。「ある属性の人たちを特定の場所から排除する仕組み」という形式はすべて差別だとして、かつて人種差別に抵抗してバスの乗車を強行したローザ・パークスになぞらえる声さえ聞かれます。「ある属性の人たちを特定の場所から排除する仕組み」は、常に差別だと言えるでしょうか。

電車には、かつてシルバーシートと呼ばれた優先席があります。女性専用車両が差別だと主張する人たちでさえ、あれを若者差別だとか健常者差別とは言わないでしょう。「専用なのが問題であって、優先だからいいんだ」と形式の違いを主張するなら、あれがもし白人優先席や男性優先席だったらどう思うか考えてみてください。弱者優先席も白人優先席も形式は同じですが、それでも「優先だから差別ではないのだ」と主張するのでしょうか。(なお、そう主張する人がいたら以下の考えとは相容れないので、もう読まなくていいです)

差別は形式だけで決まるのではありません。ローザ・パークスの時代には、もともと人種による差別があり、座席の区分けは差別の表現そのものでした。もともと男女差別という場合、男性よりも女性の方が差別対象であることがほとんどです(もちろん親権争いでは母親が有利と言われたりする逆差別というケースがないわけではありません)。女性専用車両には満員電車での痴漢除けという目的があります。痴漢被害などたいして起きていないのだという人は、女性とのコミュニケーション機会が乏しいと思われるので脇に置いておくとして、満員電車で痴漢に遭いたくないという声は無視できるほど小さなものとは思いません。ここで女性は痴漢の被害を受ける可能性があるという弱者として女性専用車両という場所が提供されています。これに対して、(現代にそんなものはないですが)白人専用車両があったとしたら、それは白人という強者として場所が提供されるように見えるでしょう。だから差別なのです。

そもそも社会が許容しない差別と、許容される区別に明確な境界線はありません。かつて日本では外国人登録証に指紋押捺を義務付けていた、ということがあります。こんなものは外国には存在しない日本固有の差別的な制度だと批判され廃止された経緯があります。これが差別的なのは外国人登録証を持つ人の多くが在日朝鮮人、韓国人であり、彼らに対する差別があったためでもあります。一方、911以降、アメリカでは観光目的の入国者すら指紋採取が義務付けられています。形式だけを考えたら、かつての日本よりも酷いのですが、テロ抑止というより大きな問題への対策として許容されています。

女性専用車両といっても条例や法律で規制されているものじゃない、とローザ・パークスを気取って乗り込む男性たちは、彼女のように逮捕されたり不利益を被ったりすることはありません。彼らがローザ・パークスの名を掲げるのは、彼女への冒涜にも等しいと思います。反差別活動がしたいというなら、アメリカに入国する際の指紋採取を拒否して入国審査を突破してみたらいいと思います。

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