D MAGAZINE
そうと決めているわけではないのですが、また2年ぶりで「Delphi Advent Calendar」に参加します。例によって昔話です^_^; また、そのため Delphiに限った話ではないのですが、「D MAGAZINE」というタイトルにしました。
■Borland時代の広告
かつて Delphi を販売していた Borland は、雑誌の裏表紙、いわゆる表4に広告を出していました。もちろん広告を掲載するためのページ単価は一番高いのですが「目立つところに出すのが効率がよい」という方針でした。1989年、日本で『C MAGAZINE』が創刊されるとき、ライバルの Microsoft を差し置いて裏表紙に広告を出しました。当時の部長は「真っ先に表4を取りに行った。マイクロソフトも表4掲載を希望したらしいが、先着順だよねと押し切った」と話していました。
■エイプリルフール
ある年、その部長に「ここで、エイプリルフールの企画ができませんかね」と尋ねてみたところ、ノリノリで話がまとまり、当時の主力製品 Borland C++ にちなんで『BC MAGAZINE』というネタ表紙を作ることになりました。発想の元は、かつてアスキーが発行していた『Ah!SKI』というパロディ誌で、「創刊の挨拶」「休刊の挨拶」などもそこから来ています(これは Microsoft での新聞企画にも引き継ぎました)。この企画は『C MAGAZINE』の裏表紙のためだけのもので、制作費も1誌・1回だけにかかります。今思うと、よくこんな"費用対効果"のアヤシイ企画を通してくれたものです。
残念ながら、手元にはその号が残っていないのですが、その表紙デザインを使った8ページの冊子を使った販売店向けの資料が残っていました。
この裏表紙は、「あまりに表紙に似すぎている」ということで少し問題になりました。新しい雑誌と思い定期購読を申し込もうとした人がいる、という話の真偽はさておき、『C MAGAZINE』の表紙デザインが無断でパロディ化されたことにデザイナーさんがお怒りだったそうです(元々、そのデザイナーさんにとっては破格(※)のデザイン料、かつ、ソフトバンクの雑誌では最もお金のかかる表紙だそうで、そういう事情もあったのかもしれません)。広告代理店の方を通じてお詫びしたのですが、そのデザイナーの方がこの企画を気に入ってくださり、翌年からは裏表紙のデザインまでしていただきました。
※追記 格安、と言う意味です。念のため。
■BC→D→CB→A
最初の年(1995年)は Borland C++ にちなんだ「BC MAGAZINE」でしたが、翌年は新たに Delphi が発売されたため「D MAGAZINE」となり、さらに翌年には新製品 C++Builder にちなんだ「CB MAGAZINE」となりました。アルファベットの並びを考えて翌年が「A MAGAZINE」になるのは自然なことでした:-) 表紙にあわせた販促用の"情報誌"も毎回作っていました。その情報誌にはデザイナーさんによるデザインを使うことはできませんでしたが、カタログ情報の転載だけでない"記事"を毎回用意したものです。
・BCMagazine.pdf(1995年)
・DMagazine.pdf(1996年)
・CBMagazine.pdf(1997年)
・AMagazine.pdf(1998年)
この企画は4年で終わりました(その後、Microsoft に移った私は、改めて同じような話を持ち出したのですが、あっさりスルーされました^_^;)。その『C MAGAZINE』も2006年4月号で休刊となりました。休刊の話を聞いた時はすでに遅かったのですが、最後が「4月号」ならば、何らかの形でパロディ裏表紙を復活させてみたかったところです。この休刊となったのが199号でした。いつの日か「200号」として"復刊"されることを待ち望んでいます。