電子書籍の話を考えるのも面白いのだけれど、前々からまとめて書こうと思っていたのが、ドメインの話である(「ドメイン名」というべきかもしれないが、とくに断りのない限り「ドメイン」と書く)。最初の自分用のドメイン(mohno.com)をお名前.comで登録したのが2000年のことだから、今年で10年目。当初は(というか、今でも、だけれど)、ほとんどメールアドレスとして使っていただけだったのが、しばらくして安い登録業者を見つけてから、ドメインを移管したり、色々登録してみるようになった。妻の分も登録したので、妻も独自ドメインのメールアドレスを使い続けている(ちなみに息子の分もある)。
登録費が安かったこともあり、くだらないドメインを登録したり、ccTLD に手を出したりもしていた。ただ、どちらかというとドメインを登録するよりも、ホスティング(レンタルサーバー)に凝っていた。当時、日本のホスティングサービスを使うには、それなりのコストがかかったものだけれど、海外(とくにアメリカ)の業者を調べてみると、かなり安いものがあったのだ。凝った挙句、ホスティング経験を語るサイトまで作った。そのサイトのために借りていた業者が潰れ、別のドメインへ移行したりしていたのだが、当時の記録が見つかったので、復活させてみた。→ http://www.hostingmania.net/
※トップページで案内しているようにリンク切れや技術的に不正確な表現が残っている。今読み直してみると、かなり怪しいことを断定的に書いたりしていて恥ずかしい部分もあるのだが、古いテレビ番組がそのまま放送されているような気持で読んでもらえればありがたい。
このサイトを作るためのコストはドメイン登録費を含めて年間$25程度だったと記憶している。左下にある CyberwingFan.com というのは、Cyberwings という格安ホスティング業者があり、そのサイトを応援するためだけにドメインを登録し、サイトを作っていたのだ。といっても簡単なページで、掲示板サービスにリンクしていた程度だったけれど。ただし、異常に安売りし過ぎて1年もたずに破綻した。なお、私は、このサービスを利用するために PayPal を使い始めた。
※CyberwingFan.com は、もう放棄してしまったので archive.org へのリンクする→ http://web.archive.org/web/20020725204114/http://www.cyberwingfan.com/
上記のサイトを見てもらえばわかるとおり、ホスティングに関する話がほとんどで、ドメインについては軽く触れているだけなのだが、そのうち興味がドメインにうつっていった。今でも日本ではほとんど広まっていないのだが(それどころか胡散臭いビジネスと思われていそうなのだが)、世界ではドメインの「セカンダリーマーケット」(ただドメインを登録するのではなく、売買するマーケット)が広まりつつあった。また、良質のドメインが削除されると、それを再登録する人々がいて、そのためのサービスもあった。よく知られていたのが SnapNames と NameWinner であり、通常のドメイン登録費よりは高いが(たとえば、SnapNames は使い始めた当時は $49 で、後に $69 になった。現在はオークション制になっている。NameWinner は最低$25からの事前オークション制だったが、すでにサービスを終了している)、よいドメインは削除されても手作業で再登録することは絶対に無理なので、この種のサービスを利用するしかないのである。私が、この手のサービスを使って最初に登録したのが monologue.net であった(今でも所有している)。
当時、削除されるドメインで良質のものは Network Solutions で登録されているものが多かった。ドメイン登録が有料化されたのは1995年のことだが、しばらく Network Solutions の独占が続いていたため、古くから登録していたものが要らなくなって削除されるということがあったのに対し、bulkregister (その後、eNom に買収された)のような安価なレジストラで登録されたものは、維持され続けるか、削除されるとしても、あまり価値のないものばかりだった。750万ドルで取引された business.com 以降、一攫千金を狙った(あまり価値のない)ドメイン登録が増えたのだが、私が興味を持ち始めた頃にはドメインブームは去り始めた頃だった。
ドメインブームが表舞台から退くのとは対象的に、ドメインフリークや専門のブローカーの争いは激しくなっていった。Network Solutions から削除されるドメインは、日本の午後3時以降(サマータイムの間は午後2時以降)であり、この時間帯はほとんどのレジストラがびくともしなくなるくらいアクセスが集中した。皆、削除されるドメインを再登録しようとするからである。上記のようなサービスを使っていたとしても確実性はまったくなかった。よいドメインであればあるほど、何カ月も待ち続けても、専門ブローカーに持っていかれるということがほとんどだった。
Network Solutions の削除ドメインについては、具体的な削除予定日に関する情報が流れるものの(そういう情報を配信するレジストラや専門業者もあった)、その他のレジストラから削除されるドメインの情報は、それほど知られてはいなかった。前述の通り、その他のレジストラから削除されるドメインによいものはほとんどなかったのだが、まったくないわけではなかった。ショートレターと呼ばれる3文字以下のドメインについては数が限られているので網羅的に調べている人もいたが、私はワードやフレーズについての情報を調べてみた。
幸運だったのは、プロの業者を含め、ほとんどの人が Network Solutions に注目しており、その他の業者にまで注意が払われていなかったことだ。今と違って、当時はレジストラの削除から再登録ができるようになるまでの猶予期間がなかったため、レジストラから削除されれば、すぐに再登録できた。私は、マイナーなレジストラの削除予定日を調べて、自分で再登録できるようなプログラムを作った。半年くらいすると、他の人や業者も気付いてきたので、まったく太刀打ちできなくなったが、その間、それなりのドメインを集めることはできた(もっとも、あくまで小遣い予算でしかなかったので、もったいないと思うくらい、みすみす逃していたものも多かったのだが)。そして、いつか日本でもWebブランディングによいドメインを使おうとする日が来るだろうと、ひそかに期待してもいた。
だが、今日、そのような兆しはほとんどない。まったくないとは言わないが、大企業がお金をかけたプロモーションやサービスでも「空いていたから登録した」としか思えないドメインが使われている。それどころか「ハトミミ.com」に見られるような「インターネットといえばドットコムだろう?」程度のネットリテラシーがばっこしているという極めて“残念”な状況である(日本語ドメインとしての「ハトミミ.com」は、個人運営のサイトになっている。→ http://xn--fdkn3ca.com/ )。まったく、まともなドメインを使おうという日本企業はないのだろうか(※)。ドメインのセカンダリーマーケットは日本にはできないのか。そういう思いを込めつつ、ドメインの話題について、ブランディングを絡めながら、色々と投稿していきたいと思っている(さて、次回はいつになるやら)。
※もちろんある→ http://www.chance.com/ 、 http://www.kabu.com/ 、http://www.dream.com/ など。
※関連記事:「2.0」ブームが起きた4年ほど前に書いたもの→「Domain Name 2.0」
※本エントリは、個人ブログからの転載です(多少、改変しています)。
Special
- PR -| maem | 2010/02/18 01:30 |
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大野さんからドメイン名に関する話が繰り出されるとは思いませんでしたが、かなり活発でいらっしゃったんですね。このシリーズ、期待しています。 僕は今のICANN周りをウオッチするのが仕事のひとつですが、どうも、セカンダリマーケットという動きがしっくりこないでいます。商材として捉えることでより積極的なユースケース開拓につながるというところは分かるんですが。。 | |
| mohno | 2010/02/18 02:30 |
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コメントありがとうございます。 「セカンダリマーケット」<基本的には電話の良番号売買と同じようなものだと思っているのですが(それ自体どうかという人もいるでしょうが)、ドメインの場合、名前が“意味”を持つだけにスクワッティングという側面を持ちかねないところが敬遠される理由なのでしょうね。たまたま先日、いわゆる業界の人と話をする機会があったのですが、業界の中でもセカンダリマーケットに手を出すことにはは大きな抵抗があるようです。 しかし、日本でも kabu.com や chance.com といった例はありますし(はてなが海外進出した際の hatena.com も買ったもの)、Web ブランディングの要素としては考慮すべきことだと思っています。なにしろ、大手が大金を費やしているであろう企画でショボいドメインが使われているというのは、どうもバランスの悪さを感じてしまいます。海外では、昨年 Toy's R US が購入した Toys.com をはじめ、Endless.com(amazon)、Open.com(Amex)、Surface(Microsoft)、Hello.com(Googleが買収。サイトは停止)とキラードメインでブランディングしている例は色々ありますし、新興企業でもキラードメインを使う例はあるのですが。 ……という話は、ちゃんとエントリに書いた方がよいですね。いずれ、また。 | |

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