津田さんとのお話で思い出したテーマに「検証性のための複製」があります。たとえば、動画投稿サイトにニュースなどの番組が投稿されることで、「あの番組では、こう言っていた」ということを検証できるようになります。津田さんは、こういう検証性がテレビ番組の質をよくしていくのではないかという話をされていたのですが、私も、この点に同意します(放送した責任として)。たとえば、出版物の場合には、かなり幅広い対象が納本制度により国会図書館に納められます。これにより、国会図書館に行けば(あるいは取り寄せれば)、出版物は後から検証できるわけです。
これと同じように、テレビ番組についても、(せめて無料で放送されるものは)後で検証するために録画しておく仕組み(および法整備)がほしいと思います(いわば番組ライブラリ)。実は、横浜の情報文化センターには放送ライブラリーという施設があるのですが、ここでも全番組の記録は保存されていないそうです。今では個人向けに「VAIO Xビデオステーション」というものがあるくらいですから、1週間程度の地上波放送であれば、誰かが個人的に記録を持っているでしょうが、できれば出版物のように半永久的に保存しておいてほしいところです。実は、納本制度を定めている国立国会図書館法第24条を見ると、対象に「映画フィルム」が含まれています。wikipedia によれば、これは猶予されたままになっているそうですが、テレビ番組は著作権法上は「映画の著作物」になっているので、(放送は録画するまで“固定”されてはいないわけですが)多少の無理は感じるものの^_^;、それほどおかしいこととは思いません。
もちろん、(いつものことですが)このために「フリーライドを認めよ」とは思いません。国会図書館の蔵書をインターネットで見る仕組みが提供されるわけではないのと同じように、こうした録画は自らの意思で(必要に応じて)図書館へ行って手続きを経た上で確認できるようにすればよいと思います。検証マニア(?)の人は、前述のような機器で私的複製の範囲で録画しておけばよいのですしね。
さらに言えば、ウェブページについても検証性のための保存(複製)ができるとよいでしょう。たとえば、Wayback Machine には、かなり広範なウェブサイトの記録が残っているので、古いウェブサイトの情報を調べるために役立ちます。しかし、出版物やテレビ番組と違って、どのウェブサイトがいつ更新されるかわからないものを保存しているため、抜けがありますし、robots.txt の指定によって保存の対象から外れてしまうページもあります。また、自分のサイトの記録を残したくない場合には申請すれば消してくれるそうですから、「あのとき、こう言ったじゃないか」という記録が消される可能性もあります。自分の好きな時点でウェブページの記録を残せるサービスに「Web 魚拓」がありますが、(池田信夫 blog のように CC ライセンスが付いているものを別にすれば)私的複製とは言えない可能性が高く、法的な懸念が残ります。会員限定のようなページも難しいですね。
この点については、「知的財産推進計画2006」に関するパブリックコメントで何らかの法整備を希望することを書いたのですが、それこそ IP によってウェブの表示内容が変わるといった場合をどうするかなど、技術的な課題もあります。そして、これもフリーライドを避ける必要はあるでしょう。これについては、少し考えていることはあるのですが、まだまとめきっていないので、機会があれば改めてエントリを書きたいと思います。
Special
- PR -| yohei | 2008/02/07 00:48 |
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wikipediaのB-CASカードの「暗号(DRM)放送の是非を巡って」の項目を見てより似たような問題意識を持っていました。私は知識が無いためエントリにできずにおりましたのでmohnoさんが取り上げて下さった事を喜んでいます:-) | |
| mohno | 2008/02/07 22:36 |
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コメントありがとうございます。 | |
http://app.blogs.itmedia.co.jp/t/trackback/77444/11682958
- 「ウェブ魚拓」はオプトアウトで正当化されるか(mohno)
小倉秀夫弁護士が「ウェブ魚拓」の合法性について疑問視されている。まあ、疑問視されるのは仕方がないと思うようなサービスだ。少なくともエントリに書かれている通り、「怒りの矛先が魚拓者に向かうようにする」ことは重要なことだろう。だが、はてブで指摘されているような「オプトアウト」を用意することは、むしろウェブ魚拓を正当化しにくくなるように思う。その点は後述するとして、ちょっと長い余談から入る。そもそも、ある行為(活動)が正当なものか、不当なものかを見極めることは難しい(ことがある)。少なくとも「形式」だけで...

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