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「匿名」対「実名」

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池田信夫氏の「2ちゃんねる化するウィキペディア」では匿名による無責任な記述が指摘され、小倉秀夫氏も「匿名ならばネットで内部告発をしても安全なのか」というエントリで「匿名可であるブログや、2ちゃんねる等の電子掲示板でも、真摯な内部告発なんてほぼない」と言及していらっしゃいます。1ヶ月ほど前には、このオルタナティブブログでも、匿名ブログや実名ブログについてのエントリがいくつかあり、ちょっと乗り遅れてしまった感はあるのですが、改めて「匿名 vs. 実名」について考えてみます。

タイムリーに書くのをちゅうちょした理由は、私自身、匿名(仮名)でコメントすることがあるのが理由のひとつです(たとえバレバレであろうと、そうする理由があるので)。実際、「書いている人ではなく、書かれている内容こそが問題」という見方からすれば、匿名投稿を全面的に非難する気にはなれません(でした)。しかし、2ちゃんねるという匿名掲示板における誹謗中傷や、匿名での荒し行為(炎上にあらず)など、“失うものがない”人のモラルには失望させられることも少なくありません。

振り返ってみると、パソコン通信(NIFTY Serve や PC-VANなど)の時代には、こうした問題はあまりありませんでした。投稿するには ID やハンドル名を必要としたので、本名はわからなくとも、どんな書き込みをしている人なのかを追跡することはできたのです。NIFTY で起きた名誉毀損事件などは「通信の秘密」を理由に NIFTY から情報が開示されないことが問題視されていたのですが、いまやプロバイダですら個人の特定が難しい状態です。

現在の匿名でのメッセージ発信という正当性や権利は、もはや不道徳な匿名ユーザーによって損なわれてしまい、規制がかかるのもしかたがない話かもしれません。

余談。同じことを喫煙者と非喫煙者で考えたことがあります。路上喫煙の禁止といった話題では、喫煙者と非喫煙者の対決としてとらえられている気がするのですが、実は「マナーを守る喫煙者」と「マナーの悪い喫煙者」という構図で考えるほうがよいと思っています。本来、非喫煙者(または嫌煙派)が喫煙者を十把ひとからげにして批判するのは適当でないのですが、結局、目に付くマナーの悪い喫煙者が「全体」であるかのように見えてしまうのです。マナーを守る喫煙者の“敵”は、非喫煙者ではなく、マナーの悪い喫煙者だと思うのです。

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