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シェア調査について

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  シェア調査のコメントがあったので、私の考えを少し書いてみます。シェアは、市場の中でのポジショニングを評価するひとつの指標となります。事業としてみれば、利益が出ていれば、市場シェアの順位は関係ないという企業もあるでしょう。市場シェアの重要性は、そのプロダクトがプロダクトライフサイクルのどの位置づけにあるのかで、決まってくるように思われます。

  コメントにあったように、確かに日本企業が好む横並びでも、さほど問題ない時もあるかもしれません。プロダクトライフサイクルは通常、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つに分けて考え、市場動向分析の基準とします。最近では、「キャズム」の著者ジェフリー・ムーアが提唱する、イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティという分け方も出てきています。では、プロダクトライフサイクルの中では、どの時期に高いシェアをとればいいのでしょうか。通常のプロダクトライフサイクルの位置づけでは、成長期やアーリーマジョリティがその時期に該当します。

  導入期やアーリーアダプターの時期にシェアをとるのは、リスクが大きいとも言えます。「驕れるもの久しからず」かもしれませんが、この時期は、ともかく参入して、周りの様子を見ながらの横並びがいいようです。この時期には、技術の標準化が進められ、ユーザーの多くは、新しいもの好きの人です。この人たちが一般の人なのか、ただの少数派なのかが、わかりにくいところです。少数派だとすると、その人たちのために新製品を開発してしまうと、その製品は消えていく運命にあるかもしれません。一時的にシェアはとれるかもしれませんが、技術標準が変更されてしまったり、ユーザーニーズが性能からデザインに移っていくことも考えられます。新技術を開発して、いち早く市場に投入したい気持ちはわかりますが、ここでちょっと我慢して、リサーチを実施する必要性に目を向けてほしいと思います。

  成長期に市場シェアを勝ち取ることは、意義のあることです。この時点での高いシェアは、売り上げ金額、収益、ブランド、業界内外の情報など、いろいろな付加価値をもたらします。それが、その企業の後々の企業力になってきます。シェア調査は、この時期に一番必要です。次の段階では、一番成長している会社は何をしているのか、その会社の動きを封じることができるのか、などがリサーチの課題となってきます。

  その場合、調査項目としては、自社のマーケティング戦略に沿って、製品、価格、販売チャネル、プロモーションなどがあげられます...延々と続くので、今日はこのくらいでやめておきます。

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