組織を変えたいともがいているあなたへ、あるいはぐうの音も出ない事実で勝負しろ
前回、「旧守派」のオジサマ達は放っておけばいいじゃないですか、という話を書いた。でも、そういうオジサマ達がガッチリ偉いポジションを握っている訳で、どうすりゃいいのさ?と絶望的な気分になっている人もいることでしょう。閉塞感を感じながら、この組織で僕はどう生きていけばいいんだろう?なんて考えている人が。
講演とかすると「上司や経営陣の物分かりが悪くて・・」という相談を受けることは多い。
僕のオススメは、「成果出しッペ」になる、という戦術だ。
・あなたの考えは古い!間違っている!と論争を挑むのは非生産的(前回書いた通り)
・それよりは、アングラでもプロトタイプでも小規模でも、何でもいいから目に見える成果を出す
・そして、出した成果(実績)をテコに、周りを変えていく
という方法だ。
「言い出しっぺ」の次の段階だから「成果出しッペ」と呼んでいる(ゴロが悪いのであまり口には出さないが・・)。
何しろ、実績は説得力がある。
改革派の自分たちにとっても、理屈だけだと確信が持てない。確信がないと、求心力も保てない。なんでもいいから「これはイケるのでは?」という成果を出せば、自信をもって進められる。
小さくても目に見える成果があれば、旧守派のオジサマ達を巻き込めることすらある。味方になったら、オジサマ達は頼りになりますよ。たくさんの知識や権限を持っていますから。
大企業で変革プロジェクトをやる時はもちろん、こういう進め方が有効な戦術になる。というか、こういう考え方じゃないと誰もやらなかった取り組みなんて、オーソライズしてもらえない事も多い。
とにかく、組織を動かすには「ぐうの音も出ないFACT」しかないのだ。
現状が悪いので変えたいなら、如何に酷いかについてのぐうの音も出ないFACT。
変えるビジョンがあるなら、こうすれば効果が出るでしょ、についてのぐうの音も出ないFACT。
僕の会社のような小さい組織だって、新しい事を始めるのはそれなりに大変だ。違う考えの人を口説くのは面倒くさい(大企業に比べれば圧倒的に楽だけれども)。
しかもそういうのって、組織の中である程度偉くなっても変わらない。部下だって人間なんだから、納得しなければ動かないから。とにかく他人の考えを理屈だけで変えるのって大変なのだ。
だから、「いつか自分が偉くなったら組織を変えよう」とか考えない方がいい。偉くなれるか分からないし、偉くなるころにはすっかり「アッチ側」になっているかもしれないし、そもそも偉くなっても変えることの大変さは減らないのだから。
それより、僕は議論などせずに自分で進め、ある程度の成果を出してしまう。
成果さえ出してしまえば、健全な組織であればすぐにみんなが真似するようになる。他の人だって、いい仕事はしたい訳だから。そのやり方が「いい仕事」だと気づいていなかっただけで。
しばらくすると、当たり前になる。もう10年も20年も当たり前にやっているような感じになる。ウチの会社にはそうやって僕が勝手に始めたことがたくさんある。
それを遠くから見ながら「みんなは知らないだろうけど、あれ、3年前に俺が始めたんだぜ」とほくそ笑むのも、意外といいものです。
もしいいやり方で成果出しても、みんなが真似してくれない様な組織であれば、その時に初めて、FACTを突きつけて変革を迫ればいい。
僕らケンブリッジが支援した変革プロジェクトでも、最初はお金をかけずにAccessやExcelベースでコツコツと業務を変え、2年後にイケると実証できた時点でしっかりシステムに投資して新しい業務を固定化する、なんていう進め方もある。
あと、「そのやり方がいいのは分かっちゃいるんだけど、そんなの出来ないよね」というケースもある。そういうのも、結局は誰かがやってみて、やろうと思えばやれることを証明するしかないのだ。最初の突破が一番大変なのも同じ。
「誰かがやってくれたらな~」か「自分がやるか」の2択。
誰かをあてにして「オジサマ達が分かってくれない」とか新橋の焼き鳥屋でグチグチ言っているよりは、自分でゲリラ的にやってみた方が楽しいんじゃないですかね?というだけの話。
いや、大変なんだけれども。