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あるいはファシリテーションが得意なコンサルタントによるノウハウとか失敗とか教訓とか

リーダーシップは誰のものか、あるいは全能のリーダーなんてどこにもいない事に早く気づくべきだということ

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★「採用基準」はリーダーシップの本
「採用基準」という本を買ってから、著者が有名な匿名ブロガーのちきりんさんの中の人らしい、という噂を聞いた。まあ、聞いてなくても内容読めば気づいたとは思うけど。

さて、そういう噂話は別にして、とてもいい本でした。前半1/4くらいはマッキンゼーの採用と育成方針の話。そして残りは、リーダーシップについて延々書かれている(元々はリーダーシップを全面に出したタイトルだったのでは?)。

共感できることが多かったので、いちいち頷きながら読んだのだが、一番共感したのは、
日本人は、リーダーだけがリーダーシップを発揮すればいいと思っている

というくだりだ。

まさにそのとおり。
僕も今の会社に入るまではそう思っていた。
例えばNHKの「プロジェクトX」なんかでも、リーダーがどうリーダーシップを発揮したのか、が中心に描かれる。かっこいいよね。



★全能のリーダーを探すのは、青い鳥探しと同じ
プロジェクトに関する本を読んでいると、プロジェクトリーダー(プロジェクトマネージャー)に求められる条件として、スゴイことが列挙されている。
人間力があって、役員と気軽に話せて、交渉力があって、業務に詳しくて、システムの知識もあって、みんなに公平で・・。

そんな人になれる気がしない。連れてこれる気もしない。
そんなスーパーマンを想定しておいて「スーパーマンがいないから、プロジェクトを始められない」「スーパーマンがいないからプロジェクトが失敗したんだ」と言っても、全く生産的ではない。
青い鳥を探すのはやめよう。

完璧なリーダーが必要なのではない。
プロジェクトに関わる人が全員、自分の持ち場でリーダーシップを発揮すればいいのだ。



★自分の持ち場でのリーダーシップ
例えば経理のプロジェクトで仕訳フォーマットを決める人は、仕訳フォーマットについてはリーダーシップを発揮しなければならない。
つまり、フォーマット決定に必要な情報を皆から集め、たたき台を作り、合意を取り付ける。「当社が持つべき仕訳情報」みたいな、大げさに言えばビジョンを語る必要もあるかもしれない。

一度仕訳フォーマットが決まったら、それをみんなに示し、守ってもらう。問題があれば、解決方法を考え、皆に周知する。別にプロジェクトリーダーがやる必要はない。


スキルが低いうちは、もっと些細な事を「自分の持ち場」にしても良い。
例えば僕らはプロジェクトに1人、「ドキュメント・コントローラー」という役割をかならず任命する。大抵は新入社員だ。
プロジェクトで作成する資料の体裁や用語統一や日本語ミスをチェックし、品質を上げることに責任を持つ。品質を上げるためのスケジュールを決めるのも仕事だ。
「適切なドキュメントを期限までに作り上げる」という観点で必要とあれば、上の役職だろうが先輩だろうが、ダメ出しをしたり、期限を守らせる。

「資料作成」という領域限定ではあるが、若手であってもリーダーシップを発揮しなければならない。そうしないと役割を全うできないのだから。

そうは言っても、大抵の新入社員は上手くできない。でも、失敗しながら「リーダーじゃなくても、リーダーシップを発揮しないと仕事にならないんだ」という事を学んでいく。

リード力を身に付けるには、リードするしかない。
残念ながら、僕ら日本人はこれまでの人生でそれほどリーダーシップを求められて来なかった。だから、会社に入ったら無理やりにでもリードさせ、身につけていくしかない。課長になった時に慌てて、管理職ノウハウ本を読んでも遅いのだ。



★人事考課のシートには「リーダーシップ」の項目はない
ウチの会社では以前、人事考課の評価項目として「リーダーシップ」という項目を作るか作らないか、議論になったことがある。
結果的に
は作らなかった。なぜなら、ほぼ全ての評価が「リーダーシップがどの程度あったか」につながるから。

難しいプロジェクトで、広い範囲でリーダーシップを発揮できれば、高い能力がある。より限定された状況でしか発揮できなければ、まだまだ。
リーダーシップの発揮度合いが全て、と言ってもいい。プロジェクトマネージャーではなく、ある領域担当の業務コンサルタントであっても、リーダーシップの発揮度合いで評価される。
「私たちの会社で、一番重要なスキルはリーダーシップです」という言葉もある。



★リーダーシップがなければ仕事にならない
なぜこれほどまでリーダーシップが重要なのか。
それは変化をさせるのが、僕らの仕事だからだ。これまでと同じ事を、同じやり方でやるのであれば、リーダーシップよりも確実性や協調性の方が重視されるのだろう。
でも、プロジェクトという形態で変化をもたらそうとすれば、
・決定を下す(そのために情報を集め、合意を取り付ける)
・決定事項を実行する(そのために周りを動かす)

の2つが仕事となる。

どちらも、リーダーシップがなければできない。
そしてこのことは、別にコンサルタントに限った話ではないはずだ。

変化を起こすこと。
そのために決定をし、周りを動かして実行していくこと。
それを、まずは自分の小さな持ち場からやっていくこと。

誰にとっても、必要なことだ。

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