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冷え冷えとした会議を温める9つの方法あるいは、うちの会議はダメと見捨てるその前に

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誰もが、盛り上がらない会議、寒い会議に出たことがあると思う。
なんかの方針を伝達する、報告するための会議なのであれば、活発な意見交換がなくてもOKなこともある。そういう場合は、沢山の人の時間を拘束する会議ではなくて資料送付で済ませたいところだが、それだと実際には読まない人がほとんどだから。主催する側も、情報を受け取る側もどっちもどっちというか。

それとは逆に、何か新しい事を見出すための会議(企画会議や、○○方針決定会議)が冷え冷えしているのは致命的だ。どうせ何も生まれないから、やらない方がいい。だがそうも言っていられないので、いつもやっている対策を挙げてみた。



★会議の前にできる事

1)でなくてもいいよ
「議題に興味が無い、貢献できなさそうであれば、でなくていいよ」と宣言した方が、かえって場がHOTになる。
それを言うことは、
・議題に興味があると見込んでお呼びしているんですよ
・会議に出るからには貢献してね
というメッセージにもなるからだ。

「参加の意味がなければ出なくていいよ」という申し出は、言葉通りの意味しかないはずで、本来もっと頻繁にされてもいいはずだ。会議の効率性を高めるために。
だが、日本ではかなり強い締め出しと受け取る人が多いので、ここまで言った方がいいのか、慎重に判断しよう。

※余談だが、僕は小学校3年の時に怒られて「家に帰りなさい!」と先生に言われたことがある。先生としては最後通牒のつもりだったらしく、僕が言葉通り受け取って帰ろうとしたのでかなり慌てていた。「帰っていい」「でなくてもいい」を言葉通りに受け取るものではない、という事をこの時初めて学んだ。



2)場所を変える
場所が変わると気分が変わる。会社を出て、研修所のようなところで議論するならば、スーツを着なくていい。同様に建前や立場を着なくて良くなる。

そうは言っても、会議のたびに研修所に行く訳にもいかないので、普段の会議室では席の配置を変えたりする。例えば、コの字型を4人テーブル×3組にしてみるとか。

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★会議の最初にやる事

3)アイスブレーカー
会議の最初に、全員でちょっとした事を話してもらう。絵を書いてもらうもらうこともある。場の緊張がほぐれればいいので、使うのは5分~10分程度。
「今度作る○○を車に例えると何ですか?」という様な、プロジェクトに関係したものでもいいし、「子供の頃好きだったアイスは?」といった他愛もないネタも意外と盛り上がっていい。

最初にちょっとでも発言していると、本論で発言する心理的ハードルが下がるものだ。

4)前提の説明を分かりやすく
僕らが主催する会議で、「みなさんのご意見を聞かせて下さい」と言っても、シーンとしてしまうことはある。
これはたいてい、前提の説明がピンと来ず、いったいどんな意見を求められているのかが良くわからない時に起こる。

以前、「説明するなら指でさせ、あるいは耳なし芳一だっていいじゃないですか」
という記事で、会議の最中に分かりやすく前提を共有する方法を書いた。これができていないと、議論のスタートラインに立てない。従って誰も発言しない、冷えた会議になる。



5)密室ルール
テーマがセンシティブな場合は、「安心して議論ができる場」だと参加者が実感していないと、発言ができない。
基本的には人間対人間の信頼関係でしかない。「○○さんがこんな事言ってましたよ」と、後で変な風に伝わらない、という信頼。
だが、「ここで話したことは、ここにいるメンバー以外には伝えない」という密室ルールを明示的に宣言することが、安心して議論ができる場づくりに役に立つことがある。



★議論の最中に気をつけること
6)議長が話し過ぎない
冷え冷えとした会議にゲスト参加していてよく目にするのは、議長役(ファシリテーター?)ばかりが一生懸命で、1人でしゃべっている状況だ。

何かを共に生み出したいのであれば、一方的に話してはいけない。耳を傾けなければならない。「ここは、私が話す場ではなく、あなた方に話してもらう場である」と宣言しなければならない。



7)沈黙を恐れない
一つ前の続きなのだが、耳を傾けるということは、沈黙に耐えるということでもある。
問いかける。しばし待つ。もっと待つ。
こちらはそのテーマについてあらかじめ色々と考えているが、相手は初めて考えることだったりする。ある程度の時間が必要なのだ。
30秒の沈黙の後に、語ってくれた話が、プロジェクトの大きなヒントになる、ということはよく起こる。



8)書き出す
「耳を傾ける」とは、具体的に何をすることだろうか。
分かりやすく耳を傾けている事を示す方法は、聞いたことを書き出すことだ。
「あなたが喋った事を、受け止めていますよ」
「難しかったので、この程度しか理解できませんでしたよ」
「複雑なあなたの話を、こんなふうに整理してみましたよ」
というスタンスは全て、耳を傾けているからこそできる事だ。



★会議の最後にすべきこと
9)成果の復習をする
たいていの会議は一回やって終わりではない。断続的に、何かを生み出したり決定していく。だとしたら、毎回毎回「この会議はやって良かった」「有意義だった」「楽しかった」と参加者が思う必要がある。
参加者がそう思えたらいいな(WANT)ではない。思う必要がある(MUST)。
僕だって「ショウモナイ会議だったなぁ」と思うことはあるが、そういう会議で次回以降、バンバン発言しようとは思わない。スケジュールをやりくりして参加しようとは思わない。

そのための小さな方法として、会議の最後には必ずその日の成果の復習をしよう。

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