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野望ドリブン成長法、あるいは僕の個人的野望リスト

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オルタナトークのお題は「あなたの野望は?」。空野さん高木さんのブログには「パパは大きくなったら何になりたいの?」という子供の問いかけについて。困りますよね、こういうの。

ちょっと話がズレますけど、僕は娘が2歳の時から「おとうのお仕事はカレー屋さん」と言い続けている。コンサルタントという職業を説明するのが困難かつ面倒なのと、まあ、子供に数年単位で嘘を付くなんて、一生のうちにそう何度もできることではないし。
5、6歳までは結構信じていて「おとうはカレー屋さんなのに、なんで中華鍋を振るのも上手いの?」などと無邪気に言ってくれた。「まんまと騙されおって・・」と、ほくそ笑んだものだ。
8歳になった今も公式見解としてはカレー屋のままだが、スーツを着て会社に行くこと、パソコンで本を書いていることなどから、さすがに「ないでしょ」と思っているらしく、その話題には全く触れてこない。
父親が嘘つきだということについてどう思っているのか、ちょっと聞いてみたい。そして、いつか父親の仕事について、きちんと話をしたい。

さて「野望」ですか。よくぞ聞いてくれました。
僕は「野望ドリブン成長法」というのを常々提唱しているのだ。

少し前の「厳正な人事評価は社員を成長させるのか?あるいは相撲取り哲学のススメ」にも書いたのだが、僕は、世間でよく言われている「成長モデル」には懐疑的だ。

成長モデルとは↓こんなの。仮に「ギャップ埋め成長法」と呼ぼう。

現在の自分の能力を把握する(出来れば数値で)

自分がなりたい姿を目標設定する

ギャップを埋めるための行動計画を策定する

日々、それを実行していく

努力が実ってギャップが埋まり、見事に成長する

だが。
少なくとも僕の場合はコツコツ型の努力が得意ではないので、

ギャップを埋めるための行動をリストアップする

日々、それに向けて努力しようと頑張る

が、努力できない

もちろん、成長しない

自己嫌悪

こんな感じになっていく。ああ、嫌だ。

努力不足だけが問題なのではない。
「ギャップ埋め成長法」は「仕事で必要だから簿記2級の勉強しなくちゃ」の様に、能力がデジタルで把握できる時には比較的有効なのだが、「コミュニケーション力」の様にアナログなものには不向きだ。
さらに、目標設定が間違っていることが多い。特に若手のうちは、自分のモノサシの範囲内で「理想の自分」を設定する。だが、モノサシをぶっ壊さないうちは、大した成長ではないのだ。
そして、ギャップを埋めるための行動計画がトンチンカンなこともある。

そこでオススメしたいのが「野望ドリブン成長法だ」

将来成し遂げたいこと、ありたい姿(つまり野望)を沢山思い浮かべる

それに向かうためのステップなどは特に考えない

が、常に意識する。それに関係することにはアンテナを立てる

アンテナに引っかかった知識、人、事例を沢山吸収する

野望に関連することについて、色々な人と議論する

野望に関連するチャレンジにはなるべく立候補(出来れば自分で企画)

あら不思議、いつの間にか成長している(こともある)


いつの間にか野望が達成(していることもある)

この方法は時間がかかるし、お約束はできない。だが、急がば回れ。経験上、5年10年単位での達成率は中々のものだ。
野望を持った時点では、到達方法が自分でも皆目分からない場合も多い。そんな場合でも、いつの間にか到達していることがある。なぜそんな事が起こるのか。多分、人間の「学ぶ力」は、結構凄いのだ。
野望を持って、普段から関連する本を読む。関連していない本からも、関連する知見を引き出す。色々考える。誰かにそれとなく質問する。
そういう事を繰り返していくうち、いつの間にか成長する、という事は実際に起こる。
そもそも、子供の時から僕らはそうやって成長してきたのだ。

野望の高さや粒の大きさも適当で良い。難易度や大小が適当だと、中には到達できるものも出てくるので、適度に自己満足できる。
当然、高い野望に到達するには時間がかかるし、一生到達できないかもしれない。が、まあ、そういうのが少しくらいあっても、別にいいじゃないですか。自分は所詮その程度、ということで。

ワタミの社長さんが、「実現すべき野望をノートに書いて日夜睨みつける」という方法を提唱しているらしい。凄い執念だけれども、僕の提唱する方法はもっとぬるい。紙にも書かないし、期限も切らない。期限を決めると、達成できない時に自己嫌悪に陥るから。自己嫌悪は成長にとって、一番の敵だと思う。

さて、野望というのは極めて個人的なものであるが、行きがかり上、僕が社会人になってから抱いてきた野望を、公開してみる。

上記のように、野望は事前には書き出さない主義なので、これは「今、振り返ってみると、当時はこんな野望を抱いていたよなぁ」というリストである。
改めて見ると「野望」という程のものではなくて、「願望」レベルのものが多いですかね。考えた当初としては遠い目標の様に見えていたので、「野望」と思ってましたけど。

ちなみに、下記はごく一部で、思い出せただけでも50個ほどはあった。
(数撃ちゃ当たる、というの秘訣の一つかもしれない)

凡例
◯:達成したもの(あくまで自己評価。評価基準は甘め)
△:未達成のもの、道半ばのもの
×:達成していないけれども、もはやどうでも良くなったもの

★SE時代(前の会社にいた頃)
◯:DB論理設計のプロになる
×:プロジェクトハブとしてのDBAになる
◯:PMの立場で判断
◯:失敗プロジェクトについて一家言持つ
◯:手取り足取り型チームリードになる
◯:凄いPMになる

★コンサルタントになった頃
◯:お客さんと戦友/同志という関係になる
◯:ファシリテーターになる
◯:会計を最低限語れるようになる
◯:業務改革(BPR)の手法を確立する
◯:ケンブリッジメソドロジーの有効性を実証する
◯:全社のお手本的なプロジェクトを作る
◯:絵に描いた餅にならないプロジェクト計画を作る
◯:問いの次元を上げる
◯:眠くならないプレゼンを出来るようになる
△:ケンブリッジを業界のスタンダードにする

★この3年ほど
◯:自分なりの新規案件の提案スタイルを確立する
△:会社を多様な才能がごろごろ集う場に
△:お客さんの役員さんと、茶飲み話ができるようになる
◯:事実/実状をあぶり出すキラークエスチョンの使い手に
◯:プロジェクトのやりがいと楽しさを伝える本を書く
△:プロジェクトの立ちあげ方についての本を書く
◯:会社の戦略ストーリーを語れるように
△:とにかく暇になる
△:社長の視点で判断

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