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会議が時間通りに終わらない症状のチェックリスト、あるいはタイムキープよりも大切なこと

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お客さんと話をしていて、自社の会議にまつわる悩み(というより愚痴)を聞くことは良くあるが、「結論が出ないまま、なんとなく終わる」と並んで多いのが、

「時間どおりに終わらない。夜まで延々やる」

という事だ。
最近は各社で残業についての意識が厳しくなってきたので、「気づくと22時」みたいなことは減ってきたが、「ウチは会議が長くて」とこぼす方は多い。
そういう、会議が時間通りに終わらない症状の原因をチェックリストにしてみた。

【1】そもそも、目的が決まってない

会議を開く以上、
・◯◯について、A案かB案のどちらかを選ぶ
・△△課題の解決策について合意する
の様な会議の目的があるはずだ。
それは単なるお題目ではなく「これが決まれば、例え終了予定時刻の前でも終わっていい」というくらい、明確なものである必要がある。

会議には、当然明確な目的がありますよね?みんなの貴重な時間をもらうわけだから。
でも、それはあくまで建前で、実際には決まっていないとか、決まっていても参加者に知らされていない事が多い。そもそも何のために集まっているのか分からないのだから、時間どおりに終わらない。

【2】脱線しまくる
脱線については以前「脱線は続くよどこまでも。あるいは脱線の2軸対処法」

という記事を書いた。
元々話したかったこととは違う話なので、それに時間を使っていては会議の終了時刻は守れない。でも、脱線には価値の高い話題もあるから、きちんと対処しないとね、という内容。

【3】ぐるぐる同じ話をする
これには2つの原因がある。
まずは対処しやすい方として「議論の流れが可視化できていない」という原因。
資料を配って上から順に話していけば、「今、会議がどこまで進んだか」「今、何の話をしているか」が可視化出来る。
もっといいのは、話しているテーマや結論を板書(スクライブ)すること。
もし30分前と同じ話が出てきたら、「さっきのこれですよね」と指差せば、議論を先に進められる。

もう一つ、厄介なケースがある。
参加者の誰かが、「会議で何らかの合意をすること」を目指していない場合だ。
例えば、プロジェクトでこの方針が通ってしまうと色々困る。でも表立っての反論、論理的な反論はできない。
そういう場合には同じ主張が何度でも繰り返されるし、大抵、そういう主張は論理的にはスジが通っていない。本人に悪気がない場合も多い。「困る、イヤ」と「論理」がその人の中で結びついていないのだ。

こういうケースはなぁ~。困りますね~。
僕はこういう時には、時間通り会議を進める事を言い訳にしてなんとなく玉虫色に収めることを、自分に戒めている。トコトン議論に付き合うしかないのだ。時間を気にしながらやっていては、「俺は納得していない」「俺は自分の主張を曲げなかった」という状態を脱出できない。
トコトン議論に付き合い、主張を解きほぐし、「何度も同じ主張をしても、それは主張として成立していない」を明らかにする。
こういう丁寧な議論をしても、ご本人とは折り合えない時が多いけれども、周りの人は、「この人が困った主張を無理やりしている」という状況がハッキリ伝わり、味方はいなくなっていく。

【4】そもそも時間どおりに終われない議題(見積ミス)
この議題を1時間で話そう、と事前に決めていたが、実は色々な問題や論点が隠れている事を知らなかったケース。
あっさり合意できると思っていたのに、「いやいや、実はこういう話もあってね・・」となると、見積の3倍時間がかかることはしょっちゅうある。

こういう時、僕は諦める。
会議が始まった時にはもう、時間通りに終われないことは決まってしまっている。あがいても挽回できない。

そして、「時間どおりに会議を終わらせることよりも、建設的な議論の場を立ち上げることの方がずっと大事」なのだ。

会議はナマモノである。その時、その時間にその人達が集まって、本当に建設的な良い議論ができることもあれば、時間投資に見合わない時もある。
もし本当に良い議論、プロジェクトを前に進める議論、未来の会社のためになる議論ができているならば、時間を守ることを理由にそれを断ち切ってしまうのはあまりにもったいない。もう一度、同じように建設的な場を立ち上げられる保証はないのだから。

そういう時は、参加者の皆さんも「今、いい議論ができている」という実感があるから、ファシリテーターから「終了時間を守れませんが、この話を議論しきってしまいませんか?」という提案に同意してくれる事が多い。
どうせ時間を守るために議論を断ち切っても、どこかで同じ話が蒸し返されるならば、効率は悪いしね。

4の「見積ミス」は、会議の準備段階でよく考え、情報収集して防ぐ事が出来る。だが限界があるので、会議を始めた後に見積ミスが判明したときは諦める。
1の「目的が決まってない」は、準備をしっかりやれば、100%防止出来る。
2の「脱線しまくる」は会議中に対処出来る。
3の「ぐるぐる同じ話」は真の原因によっては、会議中に対処出来る場合と、腹をくくらなければならない場合に別れる。

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