自社製品開発販売を立ち上げるには
たまには技術ネタやビジネスネタを書かねばと思いつつも、最近はパートナーさんとの連携などの関係で気軽に暴露ネタを書きにくくなってきてしまい、趣味ネタをたまに書くことくらいしかできていないのですが・・・
さて、上期が終わってだいぶ経ってしまいましたが、自社のIT関連事業の荒利の内訳は以下のグラフの感じでした。
ゴルフ関連ソフトというのは、自社のゴルフ練習場向けシステム製品のソフト関連分ですので、これも自社製品です。80%くらいは自社製品で稼いだという感じです。製品関連は仕入れも多いので、売上で見ればさらに製品の割合が高くなります。
7年前の様子を振り返ると、売上ベースでの内訳ですが、2010年上期は以下のような感じでした。
製品は30%弱です。
さらに、10年前の2007年では、グラフは作っていないのですが数字を見ると全て受託開発でした。自社のIT関連製品で、最初に本格的に立ち上げたのは「IntraGuardianシリーズ」と「ProDHCP」で、どちらも2006年くらいから始めていますので、翌年の2007年時点ではほぼ売上はなかったということになります。
「自社製品でのビジネスを立ち上げたい」という話しをよく聞きますが、私のところでは少なくとも3年は製品では食えていなかったと思います。5年目くらいでそこそこ、という感じでしょう。請負型の仕事と一番違うところは、「開発してもお金になるかどうかは全く分からない」という点です。1円も売り上げなかった製品もけっこう作りました。「それでもなぜ製品開発販売ビジネスに移行できたのか?」というあたりが不思議に感じるかも知れませんが、実際はシンプルで、「受託開発で食えるだけの稼ぎを維持しながら、製品開発をしたから」です。
最初の頃の製品は、「売るためというよりは技術アピールのため」でした。ネットワーク関連が得意でしたので、受託開発でもネットワーク関連を多く手がけていましたし、製品もネットワーク関連で開発しました。ProDHCPは受託開発のような感じで作ったものを製品化したようなものです。
IntraGuardianシリーズは知り合いから「こういうものを作れない?」と言われて「そんなものは簡単!」と作ったのがきっかけです。
もともと開発の仕事をしていたわけですから、受託だろうと製品だろうと、作ること自体は大差ありません。違いがあるのは「言われたとおりに作ればお金になる」か、「売れるものを考えて作らないとお金にならない」という点です。どんなものが売れるかは、売る経験がなければなかなかわからないものです。製品開発が自己満足で終わりがちなのは、売れるはずと勝手な思い込みで作るからです。私のところでもそういう製品の残骸はたくさんありました。
「自社製品でのビジネスを立ち上げたいけれど、どうすれば良いか?」という質問に対する私の答えとしては「自分で売れる製品を考える力がないのであれば、自分の技術を売り込んで、その技術を使って製品化したいというところと手を組むこと」です。作れば何とかなるということは残念ながらほとんどありません。
せっかく開発する力があるのであれば、まずはそれをしっかりアピールしておくことが大事です。開発ができなくても売る力があるところも世の中たくさんあるものです。そういうところに自分たちの力を知ってもらえなければいつまでも連携は生まれません。請負型の仕事でもある分野に特化するタイプと来たものはなんでもというタイプがあると思いますが、来たものは何でもというタイプですとなかなかアピールは難しいものだと思います。残念ながら私は受託開発の頃も得意分野に特化するタイプでしたので、何でもタイプから特化タイプに移行する方法はお話しできません。最初の頃は受託開発でも何でもやっていましたが、その都度「ネットワーク関連が好き」とアピールし続け、自分で作ったものを自慢したり、自分でホームページを開設して技術ネタを発信したり、著書を出版したりしているうちに、得意分野の相談が増えていった、という感じだったと思います。しかし、元々私がネットワーク関連に興味があったからそうできたわけであり、何も得意なものがない状態で何かに特化していく方法は私にも分かりません。
最近「自社製品でのビジネスを・・・」という話しが多かったので、私なりの考えを書いてみました。これが正解というわけでもなく、結局は人・物・金の状況に応じてケースバイケースでしょう。いずれにしても、私自身は受託型から製品開発販売型に移行して、精神的にとても楽になりました。受託型の頃は仕事の隙間がとにかく心配で、なおかつ溢れかえったときにも頭を抱えていました。もともとマメな性格ではないので、うまくマネージメントできなかったのが原因だと思いますので、受託型のビジネスが悪いわけではなく、受託型でジャンジャン業績を伸ばしている知り合いもたくさんいます。とはいえ、自社製品も魅力的であり、それを考える際の一つのヒントにでもなれば幸いです。