ラズパイ用のLCD
アプライアンスのプロトタイプを開発するときにとても便利なのがラズベリーパイです。価格・入手しやすさ・使いやすさなども大事ですが、さらに、CPUがARMだということもポイントが高いのです。サーバ機クラスのアプライアンスはインテル系CPUが多いのですが、コンパクトなアプライアンスではARM系のCPUが多く、ラズパイで動くものはそのまま製品用ハードでも同様に動くことが多いのです。
さて、便利なラズパイですが、自分の手元で開発用に使う場合には問題ないものの、プロトタイプとしてパートナーさんなどに貸し出そうと思うと、「ケース」「なんらかのモニター」が必要になることがあります。
プロトタイプではユーザインターフェースが実装されていない状態のこともあり、当然マニュアルもありませんので、まず必要になるのが「IPアドレス」をどうするかという点です。ラズパイはHDMIでモニターを接続できますので、USBキーボードもつないでコンソールでネットワーク設定をするという方法もありますが、自分でも面倒です。できればDHCPでネットワーク設定を自動で行い、sshでラズパイにログインして操作したいものです。そこで問題になるのが、「DHCPでもらったIPアドレスをどうやって知るか?」という点です。
私自身はProDHCPを開発したくらいですから、DHCPのパケットを見たり、サーバのログを見れば何を割り当てたかくらいは分かりますが、貸し出した人が同じように調べるのは大変です。できれば本体にIPアドレスを表示させたいところです。
ラズパイには純正タッチパネルモニターもありますが、サイズが大きく、ケースも大柄です。できればラズパイ本体の大きさくらいのままモニターを付けたいところです。
ということで、片っ端から試してみました!自分用の備忘録として簡単にまとめておきます。
OSOYOOの3.5インチモニターです。2種類試しました。どちらもタッチパネル機能付きです。ケース付きの方がSPI接続で解像度は480x320です。もう一つはHDMIでコントローラーとしては1920x1280までいけますが、LCD自体は480x320です。
おそらくLCDパネル自体は同じものでしょう。
コントローラーは全然違います。SPI接続の方は専用のソフト?ドライバ?をインストールして使うのですが、最新のラズビアンではうまく動きませんでした(あまり頑張って試行錯誤していませんが)。値段も大差ないので何もしなくて使えるHDMI接続の方がお勧めですが・・・
ケースがまだ販売されていません。SPI接続用を無理矢理使うこともできなくはないのですが・・・。
これは金属製の立派なケースとコンパクトな2.2インチLCD、そして6個のプッシュボタンと赤外線受信機能がついたものです。このケースはうっとりするくらい(?)良くできています。問題は・・・動かすための情報が見つけにくいことでしょう。このへんの情報が使えます。情報さえ見つければSPI接続LCDとしては難しいわけではなく、最新のラズビアンでも使えます。解像度は320x240です。
この写真の左側です。ボタンも金属製でとても良い感じです!
欠点は、320x240と解像度が中途半端で、コンソールとして使うには狭いですし、表示機能として使うには文字が小さすぎという点でしょうか。今回のIPアドレスを表示したいだけという目的ではイマイチですが、この凝縮感はちょっとはまってしまう感じです。あと、お値段がちょっと高いのと、在庫が不安定で入手性がイマイチかもしれません。
I2C接続の小型LCDで、8文字x2行ですので、コンソールに使うのはまず無理なサイズです。
うーん、、IPアドレスが途中で改行してしまうのはイマイチです。あと、ラズパイ用となっているのに、この写真でいうと左側がラズパイ本体の基板よりはみ出てしまい、ケースに入らないことが多いでしょう。まあ、IPアドレスを表示するだけという目的では文字サイズも大きく、見やすいのですが・・・
Amazonでもあるのですが、在庫切れでしたので、AliExpressで購入しました。SPI接続で、ノキアのLCDをラズパイのピン配列に変換する基板に装着したようなものです。このLCDは既に生産されておらず、aitendoでもよく売っていましたが徐々に見かけなくなってきた感じでしょうか。
Amazonの商品紹介にも書かれていますが、しっかりしたサンプルプログラムが公開されていて、サンプルを好きなように変更すれば簡単に目的のものが作れるでしょう。基本的にはただのドットを表示するだけのモニターで、ゼロから自作するのは結構面倒です。
IPアドレスが改行せずに表示できています!
もともとついているピンソケットの高さがありすぎでケースに入らないのですが、ピンソケットを低いものに交換すればこのようにちゃんとケースに入ります。表面に何も加工がない透明ケースを探すのもけっこう苦労しますけど・・・。今回の目的ではこれがベストですね〜。IPアドレスが一番読みやすいです。問題は入手性。。
ということで、これだけ試しておけば、今度ラズパイでプロトタイプを用意するときにも便利そうですが、やっぱり入手性が問題ですね。ラズパイ本体は今では実に安定して生産され入手性もよいので、そのまま製品にしても良いくらいですが・・・。
ラズパイをそのまま製品に使いにくい理由は、比較的安価なアプライアンスの製品開発販売を経験すると良くわかります。が、今回はLCDの話題なので、その話しはまた書く気になったときにでも。