テザリングしたいユーザがトラフィック的にヘビーユーザーとは限らない
流行ネタを書くのは苦手なのですが、このところiPhone5に関係して、テザリングの話題などで盛り上がっているようで、少し気になったもので・・・。
テザリングしたいユーザというのは、わかりやすく言えば、iPhoneなどのスマートフォンをモバイルルーターとしてPCでインターネット接続をしたい、ということなのですが、PCでインターネット接続をする人がトラフィック的にヘビーユーザーだというのは、個人的にはかなり疑問があります。
インターネットトラフィックの6割〜8割くらい(だったと思いますが)は動画が占めると言われています。今どきのスマートフォンは動画を見ることができますから、なにもわざわざPCを使って動画を見なくても、動画は見られるわけです。逆に、起動が遅かったり、電池の消耗が激しいPCを使わずに見られるのであれば、動画のためにPCという考えは主流ではないのではないかと思うわけです。
PCを移動中でもインターネットにつなぎたい理由は、スマートフォンでは効率が悪い作業をしたいときだと思います。フルサイズのキーボードを使ってブログなどの文章を書いたり、長文のメールを書いたりする事などが、スマートフォントと効率に差が出る作業だと思います。ブログを書くことや、メールを送信することは、動画のトラフィックに比べれば微々たるものです。
私のようなIT技術者は、「リモートログインして作業をする」ためにインターネットにつながることがとても重要です。ネットワークシステムのメンテナンス・サポートはリアルタイム性を非常に要求されますので、9時5時で会社にいる間だけ、というような対応ではお話になりません。夜中も土日も何かあればすぐに対応を求められます。こういうケースでインターネットはとても重要で、インターネットがあるおかげで私は帰宅したり、土日に会社に来なくてすむと言えるくらいでしょう(もっとも、そのインターネットを構成するシステムをサポートする仕事だから、と考えると頭がこんがらがってきますが)。そして、リモートログインの通信量も大したことありません。
仕事ですから、別に多少通信費が高くても文句があるわけではなく、それならそれでサポート費に上乗せすれば良い話ですから、私がテザリングをしたいのは、別にiPhoneだけで全てを済ませて安くしたいという理由ではありません。現状は、日本にいるときには、iPhoneとe-mobileを持ち歩いていて、PCでインターネット接続をしたいときには、e-mobileか公衆無線LANを使います。e-mobile用のモバイルルーターはiPhoneに比べると、触れる時間が短いので、電池切れなどに気付きにくく、肝心なときに電池が無いということが多いのです。すると、予備バッテリーも持ち歩くことになります。iPhone一つで済ませられれば、気配りするのが一つですむのと、少しでも鞄を軽くできるということでテザリングしたいのです。タイではiPhoneでテザリングができるSIMがいろいろありますので、とても便利なのです。
ということで、テザリングは悪(?)というようなイメージが何となくある気がするのですが、トラフィック量的には動画ばかり見るのが悪(かどうかは微妙ですが)です。むしろ仕事でPCをインターネットにつなぎたい(つながざるを得ない)人のトラフィックは少なく、さらに、それによってインターネットの安定稼働も、多少なりとも守られている、ということで、そんなにテザリングを悪者扱いしないで欲しい、ということが書きたかったのでした。
もちろん、インターネットサービス提供側もいろいろと対策は考えていて、流量制限などの消極的な方法もありますし、あるいはキャッシュを効率良く使う方法など、今現在も様々な技術での解決への取り組みが行われています。当社もそんな技術の一部に取り組んでいます。インターネットは今や完全に社会インフラになりましたが、利用の広まりに対して、仕組みの整備が追いついていない部分も多く、これは日本国内に限らず、世界中で同じような悩みを抱えながら運用しています。現時点で想定もできないような使い方がどんどん出てくることでしょうし、それに対応してインフラの整備もどんどん進むことでしょう。その一部に関わる事ができているのは、とてもやり甲斐のあることです。