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プログラミングでメシが食えるか!?

沢木耕太郎著「深夜特急」を読んだ

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かなり前から、友人から読むように言われていた、沢木耕太郎著「深夜特急」を読み終えました。
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6冊もあるので、なかなか手を出せなかったのですが、読み始めたらあっという間に読み終えてしまいました。

内容に関しては私が紹介するまでもないと思いますが、香港・タイ・マレーシア・シンガポール・インド・ネパール・トルコ・ギリシャ・イタリア・スペイン・ポルトガル・フランス・イギリスと、一人旅を基本的にバス(一部飛行機、船、鉄道)で続けるものです。もともとの目的はデリーからロンドンまでバスだけで旅をする、というものでした。

ちょうどこの2ヶ月くらいで、タイに2回出張し、友人から「タイに行くならサヨナライツカをみておかないと駄目だよ」と言われ、すぐに観て、さらに、「旅ならやっぱり深夜特急を読まないと」と言われて読んだ、という感じです。

旅に何を求めるのかは、人それぞれだと思いますが、多くの人は結局「人とのふれあい」を求めているのじゃないかな、と思います。どうせなら気ままな一人旅をしたいのは、実は一人旅だと旅先でいろいろな人とふれあうことが多くなるからではないでしょうか。二人以上だと仲間たちで盛り上がることが中心になり、それはそれで楽しいのですが、新鮮さでは損をする感じでしょう。もちろん、一人で誰にも干渉されずに感傷に浸るという目的もあると思いますが、その後にはやっぱり知らない人とのふれあい・優しさが恋しくなるのではないかと思ってます。

私の一人旅の原点は、高校2年の夏休みに鹿児島に行ったことです。鉄道マニアだった私はどうしてもブルートレインに乗りたくて、どうせなら東京から一番遠くまで行ける、西鹿児島行きの「はやぶさ」に一人で乗ったのでした。当時のB寝台は3段式で、一区画6人という感じで、静岡駅で私の区画に5人家族が乗ってきました。富士山登山をした帰りということで、ちょうど私は高校時代、部活(室内楽部)の合宿で3回富士山に登りましたので、そんな話をしながら、かわいい3人の子供達と仲良く遊びながら、夜が明けると九州が近づいてきました。

鹿児島には知り合いもおらず、私は西鹿児島駅まで「はやぶさ」で行った後、1時間半くらい後の新大阪行き寝台特急で戻る切符を買ってあったのですが、朝食をご一緒していると「鹿児島まで来て駅から外にも出ずに、1時間ちょっとで帰ってしまうのは、鹿児島に住むものとして許せない。鹿児島を案内するから泊まって行きなさい!」と言っていただき、子供達とも仲良くなったことですし、お言葉に甘えて、とお世話になることにしました。自宅に電話をしたら親がビックリしてましたが。

その方の実家は「つけ揚げ(薩摩揚げ)」のお店で、ジープを借りるのに寄ったときに揚げたてをいただいたら「うぉ!うまい!!」と感動したり、ご自宅に着いて、「子供達と風呂に入ってきて」と言われて風呂に行ったら五右衛門風呂でこれまたビックリ!ご飯には「豚味噌」を乗せて食べる旨さに感動し・・・

次の日には車で薩摩半島を一周案内していただきました。開聞岳山麓で馬がのんびりしていたのが印象に残ってます。夕方になるとご自宅のちょっとした裏山を越えていくと砂浜があり、他に誰もいない中、子供達と贅沢な海水浴。夕日が沈んでいく水平線の向こうは海外だなぁ・・・

そんな感じに、なんと3泊4日もお世話になり、お土産の「つけ揚げ」をいただき、帰りの切符も買っていただいてしまいました。駅で別れるときには涙が止まらず・・・

一発で鹿児島の大ファンになったのでした。

列車の中でそのご家族と巡り会えなかったら、鹿児島の「か」の字もわからずに帰ることになっていたわけで、やっぱり「旅は出会い」だなぁ、と高校時代に経験できたのは、とても幸せだったと思っています。行かせてくれた親に感謝ですね。

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「深夜特急」はそんな旅とは全く違うスケールですが、そういう旅を擬似的に経験させてくれる、とても刺激的な本です。

旅に限らず、飲み屋でたまたま隣に座った方々とお話しをしたり、やっぱり人は人とのふれあいを欲しているものなのでしょうね。普段はいきなり知らない人に話しかけにくいものですが、旅とかお酒の雰囲気でそれができるようになるのでしょう。

あぁ、また旅に行きたいなぁ・・・

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