エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

業務をアウトソーシングした後の社員は何をするの

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 ずいぶん前の話だが、ある会社から現在運用しているインフラ系システムのひとつをアウトソーシング(今流行のSaaS)にしたいという引き合いをうけて訪問した。対象のシステムは24H365Dの稼働が求められるため運用が大変で自社の運用管理者を貼り付けておくのが勿体ないというのがきっかけで、システム名を聞く限りどこの会社にもある一般的で共通的なシステムだったので、この意見にさもありなんと同意をして訪問することにした。

 当日詳しく話を聞いてみると、このシステムには今でも自社の開発者が数名はり付いて継続的に追加開発やメンテナンスを行っいるとのこと。採用していたプロダクトが独自アーキテクチャーだったことも影響しているのだろうが、ユーザからのきめ細かい要望に対応する為に自社SEをそこに特化させて抱え込んでいたようだ。
 ところが本社の企画部門から情報子会社に異動してきたという担当者が声高に叫んでいるのは「単純な作業は外部の専門家に任せて我々はもっと他の別の仕事をやる」と いう明快ではあるが安直な主張。ここで私としてはちょっとクビをかしげたくなった。だって、担当者を配置してまできめ細かく対応した詳細の内容を全然把握していないし、別の仕事とやらも説明できないんだから(その癖、事例を出せ、提案しろ、データは責任持って移行しろ、と条件は沢山だった)

 アウトソーシングの検討の際に担当者から出てくる「我々はもっと高度な他の別の仕事をやる」という発言、こうした場合の他の仕事とはそもそも何を指すのかも不明確だが一般的には企画や営業などを指すことが多い。でもこの狙いには大きな罠があるように思う。高度な仕事ってそんなにたくさんあるのかな。そして今までその仕事をやっていた人材が他の業務へ簡単に転用できるのかな。

 そもそも日本の企業の場合は従業員をそう簡単には解雇できない。配置転換をしようと思ってもスキルのアンマッチなどが障壁になることも少なくない。そして新しいスキルを身につけさせるには結構な時間がかかる。
 枯れたシステムの運用作業や特定のシステムの個別開発作業を長く続けていた人材が、ある日からいきなり視点を持ち替えて企画や調整作業に携わるのは難しいと思うのだ。営業現場に配属しても直ぐにきちんとパフォーマンスを発揮できるかどうかというとそれもかなり疑問だ。

 えてしてこういう見た目美しく耳障りの良い案は企画畑のエリートの方々が言い出しっぺだったりする。確かにその案を言っている本人は良い。どこへ異動しても仕事はできるだろうし、ジョブローテーションでしばらくすると他の部門へ異動して別の企画を立てるだけだから。しかしそこに留まって仕事をする人たちはどうなるのだろう。

 結局その引き合いには丁重にお断りをした。その日、口角泡を飛ばしてアウトソーシングの効用を叫ぶ企画担当者の横で黙って話を聞いている現在のシステム担当者の表情はあまりにも複雑だったから。

Comment(1)

コメント

システム担当者自身も否定仕切れない部分もあったんでしょうね。

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