今朝(2008/06/19)の日本経済新聞朝刊の経済教室欄は、久しぶりに早稲田大学教授である平野雅章先生のものだった。平野先生はこれまでも組織へのIT投資に対するリターンに関する研究を何度か書かれていたが、今回は組織能力と組織を構成する各個人との関係に関する内容でこれが実に興味深い。
今日のコラムでのポイントには、組織IQが低い組織ではいくら人材に投資をしても効果は得られないというのがある。多くの企業では組織の能力を高めようとして、研究開発に投資したり営業現場の人を増やしたり、新しい人を雇ったり教育訓練に投資したりする。組織IQが高い組織ではこうした総資産人件費率の上昇が収益性が上がるが、組織IQが低い場合はそれらの投資がそのままコストになって利益は増えないという統計結果が得られたというのである。
ちなみに組織IQというのは、スタンフォード大学のメンデルソン教授が開発した組織の知能指数を測るための評価技法で、1.外部情報感度 2.内部情報流通 3.効果的な意思決定機構 4.組織フォーカス 5.継続的革新 の5つの側面からスコアを求めるものということ。
私自身の経験に照らし合わせてもこの調査結果にはおおむね同意できる。企業を訪問して打合せをしたり、実際にコンサルティングプロセスでつきあっていると、個々人は優秀なのに組織としては全然ダメな会社にしばしば出くわすのだ。そうした企業では、良い大学に入って良い成績を収めた学生を多数採用して彼らの給料も世間的水準より高めに置いているのだが、結果としてベクトルだとか風土というかそういうところが影響するのか、組織としては何かこう淀んだ空気というか白け感のようなものが漂っている感じなのだ。逆に人も少なく給料もあまり高くない企業で、活き活きとして次から次へと前向きに行動する社員とその結果伸びていく場面に出会うのと実に対照的だ。
それはお前の主観的感想だろうといわれればそうかもしれない。実際にどこをみてそんな事を言っているのかとかこうなる理由を私は上手に説明できない。でもだいたいその会社とつきあい始めて通算3部署くらいと接触して何人かの社員の人と話すと、何となくその会社の組織IQが高そうだとか低そうだとかが判るような気がするのだ。そして組織IQが低いなぁと思った会社が、しばらくしてから外資に買われたり、不祥事を起こしたりするのを、後からニュースなどで見てさもありなんと思うことも。
平野先生のコラムには、対策としてこの組織IQを高めるにはどうするか、という事に関しても一つのアイデアが提示されていた。それは「組織に属する人間の情報処理負荷が各人の持つ情報処理能力を超えないようにする」ということだった。最近話題の小集団制の導入だとがその解決法の一つなのだろう。ITで言えば社内情報流通改善のためのポータルだとか社内情報検索基盤の構築なんてのがこれに当たるのか。
人件費率と組織IQの間に相関関係は無い、という話と共に、会社の組織や仕組みを変えたり、ITを使ったシステムを構築する際にはこういう視点を持てというメッセージだと受け取っている。
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