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[定点観測]実名ブログ界の動向 2008年3月版~実名で書くか匿名で書くか

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 何人かの人に指摘されてしまったが、定点観測している実名ブログの動向を忘れていたわけではない。ちょっと集計作業に手間取ってしまっただけである。と いうことで、ITmediaのオルタナティブ・ブログとイザ!(iZa)記者ブログの2つの実名ブログでの2008年3月の投稿状況の集計結果を報告。

オルタナティブ・ブログは継続率50%を回復

200803  2008年3月オルタナティブ・ブログは、新規ブロガーが1名増えて総ブロガー数は155人となった。
 ここ最近オルタナティブブログにおけるアクティブ・ブロガー(毎月月に1回以上投稿するブロガー)の割合はずっと50%を切っていたのだが、今月は突然ブログを再開するブロガーが一挙に増えて83人となり、継続率が53.5%に回復した。
 復活したブロガーの多くは、月間投稿数が10回以下であるので、月間平均投稿数こそ10.34(2月)→9.57(3月)と低下したが、ここへきてオルタナティブ・ブログで緩やかに進行中だったブロガーの2極化現象に歯止めがかかったようで良い傾向だと思う。

イザ!(iZa)記者ブログは逆についに継続率が50%を割る結果に

 これとは逆にイザ!(iZa)の記者ブログでは、継続率がついに50%を割って、45.8%台にまで落ち込んでしまった。ちなみにはイザ!(iZa)の記者ブログでは過去に2度ほど記者の入れ替えをやっていて、その際に14人の記者のブログが休止しているので、この数を入れると継続率は39.2%という実に低い数字になってしまう。
 平均投稿数こそ18.39と高い水準を維持しているが、これは一部にいる非常に熱心に投稿する記者による影響が大きく、それ以外の記者は月に1~4件の投稿で、かたち上は継続しているがお世辞にも活発だとはいえない。
 以前にも書いたが、イザ!(iZa)の記者ブログでは、月間投稿数5~20件という中間層がいないのが特徴で、これは、組織内ブログでの投稿行動に似ている。自主的とはいえ会社からブログを書くように言われた場合、どうやら「仕事の一環だと思って一生懸命に書く派」と「とりあえず怒られない程度に書く派」に2極化してしまうようだ。

実名か匿名か

 さて巷では、あるイベントを機にブログを実名で書く派と匿名で良い派の議論が盛り上がっているようだ。私個人としては、やはり実名でブログを書く事を薦めはするが、別に全員に実名を強制するわけでもない。
 始める際に実名で書くか匿名で書くかを判断する一つのポイントは、そのブログで扱っていこうとしているテーマに自分がこの後どう付き合ってくのかということだろう。もしそのブログで取り扱うテーマが将来自分のビジネスやキャリアに絡んでくるのであれば、実名で書いた方が良いと思う。実名をネットに晒すことはそれなりのリスクを伴うが、それでもブログでなにかを成そうなするのであればそのリスクを負うべきだと思う。リスクなきところにリターンはない。

 ちなみにいったん匿名で始めておいて上手くいったら後から実名に切り替えるという虫の良い作戦は、時々思わぬ罠に陥ることがあるから注意したほうが良いだろう。匿名だからと思ってうっかり書いてしまっていたことが実名になった瞬間に引っかかってしまったり、匿名の間にできあがったイメージが実名になってうまくつながらなくて整合性がとれなくなったり読み手に混乱を招いたりすることがあるからだ。それくらいなら最初から腹を括って実名でやったほうが良い。
 
 だいたい匿名で始めておいてあわよくば有名になって、というのはブログがもの珍しかった昔ならいざ知らずこのようにブログが山ほどある状況ではもう起きえないと思った方が良い。例えばある分野について専門家のコメントが欲しいと思ったときに実名ブロガーと匿名ブロガーのどっちのブログを参考にするだろうか。リテラシーが高まってきた読み手側はバックグランドなどがよりつかみやすい実名入りの記事と単なる匿名の記事は自然に信頼度などに差をつけ始めているのではないか。

 専門家になりたいとか影響力を行使したいとか大それた目的ではなく、人脈形成をしたいと言う場合(こうした社外活動をするときにかなり良く言われる目的)でも匿名よりは実名の方が有利だ。そもそも匿名だと連絡の取りようもないし連絡するにあたって躊躇されやすい。
 バックグランドなどを明確にしていないニックネームだけでの挨拶や名刺交換ではその場では一瞬盛り上がることができても、その後で他の分野へ関係を広げるのはとても難しい。手がかりが足りないので何かあったときにその人の顔が浮かぶという気づきが誘発しずらいからだ。実名の方は関連情報が増えるから記憶に残りやすい。

 逆に完全に趣味でブログを書く場合などは別に匿名なり顕名で良いと思う。趣味の分野でやることで本業や実生活に影響を与えるようなリスクを負う必要なない。

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