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プロはいくつかのパターンで議事録を書き分ける

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 良い議事録の書き方なんて記事が、ちょっと前にはてなのホッテントリに載って注目されていた。確かに正しい意見だと思う。ただ、良い議事録というのは、会議の種類や目的によって変わるというのもあえて指摘しておきたい。
 ネットで調べてみるとわかるが会議にはいくつか種類がある。この例で出てきた議事録は、このうち「何かを決めるための会議(意志決定の場としての会議)」で書くべき議事録であって、この議事録の形式が全ての会議で最良というわけではない。

 案を出す段階のブレスト目的の会議や現状調査や確認の為のヒアリングと呼ばれる会議で、この決まった事だけ書いた議事録を作ると先輩からどやしつけれられるだろう。実際私の所に異動でやってきた若手にコンサルティングでの議事録を書かせると、たいていの場合この決まった事しか書いてないものを起こしてきて、結局イチから全部書き直すハメになる。ここ数年でこれを10人は繰り返してきているのでもううんざりだ。

 現状調査や課題認識の段階での会議(打ち合わせと呼んだほうがよいのか?)では決まった事ではなく、出席者(特に相手側)が何を話題に出したか、何を話したかが重要で、これを後から再利用するために議事録を残す。だからそういった際の議事録は、必然的に長くなるし1時間の会議でも5頁以上になる事も少なくない。

 こういう議事録を起こす方法としては、まず会議の最初の場面から全部を順番に頭の中で再現をして各発言内容を箇条書きにして書き出していく。この時に出来ればワーディングだけは統一して人によって違う言い方をしているモノは統一してしまう。

 箇条書きは一言一句発言した内容を再現する必要はなく各発言のうちポイントを書けばよい。長い発言は2つに分けて書くと良い事が多い。同じ内容の発言は表現的に優れているほうか、あるいは重要人物のほうを残し纏めてしまう。会議の中でQ&A形式で話された内容は、QとAをつなげて対比形式で書いておく。

 次に関連する箇条書き部分をグルーピングする。打合せがスムースに流れれば別だがたいていの場合話題が飛ぶので、飛んだ話題の部分をまとめるのだ。必要であればこの際に発言の時系列は替えても良い。「先ほどおっしゃった○○○についてもう一度・・・」といったようにさかのぼって聞いた部分などは、理解しやすいように○○○が最初に出た部分より前に並べかえても構わない。

 最後にグルーピングしたものをストーリを持って並べ替える。普通は総論から各論へと並べる。例えば業務に関するヒアリングなんかだと、担当している業務全般の話→個別の業務の特徴→不満に思っている事や改善点→既に仮説がある場合それへの意見、というように並べる。ストーリに入らない部分は最後に纏めてその他として残す。この最後の2つの過程がテープレコーダーと人間の議事録の差だ。

#後あえて言うと、テープレコーダーだと些細な事まで起こしすぎて人間の記憶程度で克明に書いたほうが分量的に再利用可能な量としてちょうどよくなると思う。

 ちなみにこのストーリを上手に組めるかが議事録係の腕の見せ所であり、その前の箇条書きを出すところが議事録係の能力(記憶力)判定の所だと個人的には思っている。こういう議事録を上手に書ける人は、その後の課題整理や解決案検討の段階でも能力を発揮できることが多く、議事録を書かせるとコンサルタントに向いているかどうかを結構判別しやすい。

 上はヒアリングの例で説明したがブレストの場合も同じだと思う。最近はブレストの議事録をマインドマップで書く人が増えているようだが、個人的にはマインドマップだけでは行間というかコンテキストが欠落するような気がしていて、マインドマップは最後に纏め変わりに添付するか議事の途中で発想が途切れたときの整理用に使うのにとどめほうが良いと感じている。

 おっと誤解されないように書き加えておくが、当然こうした克明に記述された議事録が優れるのは情報収集などが中心となるプロジェクトの初期段階で、コンサルティングの場でもプロジェクトの後半では決まった事しか書かない議事録のほうが主流になる。

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