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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

エンタープライズサーチはアルゴリズムの時代からナビゲーションの時代へ移った

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 日本においての検索エンジンブームは過去1990年代に一度盛り上がっている。そして昨今エンタープライズサーチと名を変えて第2のブームが訪れた(ようにみえる)。初期のブームはおそらくジャストシステムのConceptBaseの発売をきっかけとしたものであったが、その頃の検索エンジンは検索方式の違い、すなわち「形態素解析」か「nグラム方式」かを中心に語られることが多かった。

 しかし検索方式の違いなど実のところ一般ユーザには別にどうでも良いことだったのである。車に例えてみると、FF式の車であろうがFR式の車であろうが普通の人は車が走れば満足であり駆動形式よりは走りにおける快適性などをより重視する。検索エンジンも同じである。欲しい検索結果までたどり着く過程のほうを重要視する。

 実際に技術的に先行するインターネットサーチの世界では、地図をインターフェースにした検索や検索キーワードの推薦機能などが取り入れ始められている。そして最近エンタープライズサーチベンダーも検索結果の表示や絞込みの方法に工夫を凝らし始めた。 

 アクセラテクノロジのBizSearchには、検索絞込み用のキーワードを検索エンジン側が提案してくれる機能を持つ。この機能は検索結果の表示の際に、検索結果集合に良く含まれる単語を関連語として自動的に抽出し、上位から15個程度を次の絞り込み候補として表示してくれる。
 FASTのEnterprise Searchはダイナミックドリルダウンという機能を特徴にする。これはある検索を行なった際に結果集合を自動的にクラスタリング分析して分類を行い、更なる絞込み用にキーワード毎の件数表示を行なうというものである。この機能は実際にCareerbuilder.comに実装されているので試してみると良い。検索条件に「consultant」と入れると結果が表示される。ここで「by company」にマウスを充てて興味のある会社名を選択すると検索結果がさらに絞り込まれる。さらに絞り込みたければこの後「by city」等の件数を見ながらクリックしていけばよい。

 このようにユーザーが検索の絞込みのためのキーワードを思いつかない場合にでも検索用キーワードを表示することで、あまり検索エンジンに慣れていないユーザでも2~3クリックで目的のページまでアクセスできるようになるという。ある種の統計では、検索エンジンを使いこなすのは難しいと答えるユーザはまだまだ多いようであるからこういったナビゲーション機能は重要である。

 国内での検索エンジンの雄ジャストシステムは「ナレッジファインダー」という機能で、検索結果を表示する際に内容を自動分類して縦横の表に整理してそこからさらに絞り込むという方法を提唱する。検索結果を表形式にすることで文書の分布や関係が一見し易くなれば「気づき」や「発見」が増えるかもしれない。
 さらに今後普及が進むであろうESP(Enterprise Search Platform)では、検索結果のナビゲーションをユーザごとに細かくカスタマイズして提供できるようになる。既にウチダスペクトラムのSMART/InSightのようにESP上で検索エンジンとフォークソノミー機能を統合して、検索結果の評価や新しい検索キーワードをユーザが追加できるようになっている。

 もちろん、検索エンジン本来の機能であるインデックスの作成時間や検索結果の表示までの所要時間も引き続き重要なポイントである。検索エンジンの導入やESPの構築の際にも処理時間の技術検証は欠かせない。しかしながら検索方式について「形態素解析」と「nグラム」のどちらが優れているかという議論はもう卒業してもよいのではないだろうか?

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