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"ハーバードの「世界を動かす授業」"の感想

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"ハーバードの「世界を動かす授業」"の感想を書いてみます。

国家がどのように成長し、どのような問題があるのか特徴的でかつ重要的な国に関して説明しています。取り上げている国は、高度成長時代の日本、シンガポール、中国、インド、メキシコ、南アフリカ、サウジアラビア(産油国を代表として)、ロシア、EU、アメリカ、迷走している現在の日本です。

著者であるリチャード・ヴィートー氏が国として見本ともしているのはミラクル時代の日本とシンガポールです。

両者とも、汚職が少なく、貯蓄を行い、国が一致団結して成長する分野にリソース(資金も含めて)を振り分け、多くの時間を国の成長に時間をかけることです。これらのいくつかが欠けると二桁成長に到達しないようです。

ただし、シンガポールの例を見ていて愕然としました。1985年には給与の50%を貯蓄に回され、インフラなどの投資に回されたそうです。また貯蓄を引き出すには住居、教育、医療以外に引き落とすことができなかったそうです。国全体の方針としてはこれはすばらしいことかも知れませんが、個人としてはどこまで納得できるでしょうか。増税よりもましと言えるかも知れませんが

私は以前の日本の汚職が少なかったのは江戸時代から風習のおかげではないかと思います。司馬遼太郎氏の"「明治」という国家"に、大久保利通が蔵を持っただけで貶されるぐらいで清貧な風習のおかげでアジア圏内(もしくは世界中)では最も汚職が少ない国になり、明治維新から飛躍や第二次世界大戦後の復興が非常に早くすすんだのではないかと思います。また、日本は他の国と比べて宗教などの国内の中での問題を少なかったことも幸運だったと思います。

日本以外の国を見ると、中国とインドはこれから成長を続けるでしょうがどちらも経済格差等の大きな問題を抱えています。資源国家である産油国、南アフリカ、ロシアも決して問題を抱えていないわけではありません。さらに、富裕国であるEUやアメリカも労働時間、社会保障制度、多くの赤字等の経済問題を持っています。

この地球で最もハッピーな国はないのかとさえ思わされる内容です。特に日本は一番良い時代があっただけ、その落差は計り知れない感じさえします。

私はあまり国の経済状況に関しては気にしたことはありませんでした。それは気にしてもどうすることもできない問題だと認識していたからだと思います(これが良くないのかもしれませんが)。本書で発展する国の法則を提示していますが、何も国家だけにあてはまらないと思います(収支に関しては概念はちょっと違うが)。そのような考えで読んでみるのも一つかも知れません。私は国家毎の戦略の違いがあることを興味深く読むことができました。

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