オルタナティブ・ブログ > けんじろう と コラボろう! >

ビジネスとお父さん業のスキルを向上するIT活用術

日本のマネジメントの素晴らしさ~トヨタ・リコール問題のアメリカ公聴会後の集会での拍手の意味。

»

 トヨタのリコール問題の公聴会後に行われた集会で、トヨタの社長が涙したのを覚えている方も多いだろう。

 あの集会には、アメリカのトヨタの工場や販売店の人が集まっており、社長が登壇したときに皆から拍手がおきていたが、社長が来るのだから集まるのは当然で、社長、つまり上司だから拍手したものだと私は思っていた。

 無理に拍手させられたのではないとしても、「心のから拍手しているのではない」と考えていた。

 以前、アメリカなどにある自動車会社に工業用ロボットを販売していた方が帰国していたので、この件について聞いてみたところ、思わぬ事実が聞けた。

まず、

「彼らは心から、トヨタに感謝し、トヨタを愛している。あの拍手は当然の流れで心から起きたもだ」

ということだった。彼の話によると、

「トヨタに代表される日本企業が工場ブルーワーカーの地位向上に対して果たした役割は、日本人が考えている以上に大きいのです。あの集会に参加した多くの人は、工場ラインでQC活動、カイゼンなどのマネジメントに参加する機会を与えられ、それをきっかけにポジションアップしてきた人たちなのです。
 当時、他のアメリカ企業の工場にいたら、工場のラインワーカーとしてマネージャーから指示されたとおり働くことを求められ、一生、ラインワーカーで終わっていたはずなのです。
 日本から来たマネージャー達は、献身的に工場労働者の意見を聞き、自ら改善提案することの重要性をといたのです。アメリカのマネージャーは社員を信用せずに指示に従わせるというスタイルが一般的でしたから、画期的だったのです。

 彼らは、アメリカのトヨタを苦労して一緒に作ってきたという自負も持っているのです、、、」

とういうことなのだ。

 どの本に書かれていたか忘れたが、同様のことを読んだことがある。

 日本企業のカイゼン、QC、参加型マネジメントを取り入れようとしたアメリカの製造業がたくさんできてきたが、成果を上げることができなかった。アメリカの経営者はそれを「日本では製品を大卒が作っているからだ」と言った。 しかし、同じアメリカ企業が、工場を日本人マネージャーに任せるとそれらは大きな効果を発揮するようになった。

 問題は、労働者側にあったのではなく、マネージャー側にあったという話だ。 労働者を心から信じ、労働者を自分たちと同じ社員だと考えて、仕事を任せられるという、日本人マネージャーのスタイルが成功に導いていたわけである。

 そのマネージメント方式をアメリカに持ち込み、自分たちを信じてマネジメントに参加させてくれ、頑張った結果としてポジションを与えてくれた日本のマネージャーに対する敬意があの「拍手」には込められており、それが本当の拍手であることを知っているからこそ、社長は涙したのだ。

 日本にいるとなかなか気がつかないが、なんとも誇らしいではないか。

 そんな日本の製造業をこれからも応援していきたいものだが、同時にこれが15年前のことであり、イギリス、アメリカを中心に、新しいマネジメントスタイルが登場して大きな成果をあげていることも忘れてはならない。

Comment(0)