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お父さんの「独り言ブログ」~怒らない子育ての実践

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 近所に住むあるお父さんが、怒らない子育てと、家族の絆を強くすることを目的に「家族への独り言ブログ」に取り組んでいる。(私が本に書く内容が、正しいかどうかを検証するために実践をお願いした)

 ブログに書いている内容は、昔のホームページのようなもので、家庭で起きた出来事と気づいたこと、気になったことを、短い文章で書いているのだ。

 このお父さんの匿名ブログは、誰でも見ることができるオープンなブログだが、見ているのは奥さんと息子さんだけだ。そして、この二人だけが、このブログを書いているのがお父さんだと知っている。

 息子さんはパソコンのデスクトップにある「お父さんの日記を見てみよう」というショートカットを選ぶだけで、ブログサイトにアクセスできる。

<相手に指示せず、自分にとって何が困るか、何が嬉しいかを書く>

ブログの内容は、次のようなものだ。

・子供のやっていることで、心配だから直してほしいことや残念だったこと、いやだったこと

・子供達との楽しかった出来事

・会社で大変だった出来事

・週末にしたいと思っていること

 実際のブログを見せてもらったが、子供でもわかる言葉で短く素直に、子供に対してではなく、ネットにいる沢山の人に対して、独り言のように自分の素直な感情を書いている。

「子供の理科のテストが90点だった。とても良くなっていたのでうれしかった。でも、子供に“凄いね”と言うのを忘れたまま、算数の点数が悪いことで怒ってしまった。 悪いことをしたと思っている。」

「会社でオーストラリア人と2時間も英語で説明した。英語が苦手なので大変だった。英語の勉強をしなくてはいけないと感じた。子供達もこれからは英語が必要だろう。」

「息子と奥さんの寝顔が、そっくりで、かわいかった。ずっと見ていた」

「妻と喧嘩して、今でも許せないが、愛している。解決策を話し合いたいと思っているがきっかけが、、、」

「最近息子の寝るのが遅い。子供は夜9時までに寝ないと背が伸びないらしいので心配だ」

「息子はいつも忘れ物をしているようなので、持ち物リストを一緒に作ろうかとおもっている」

「息子が、店で帰ろうとせず“買って欲しい”と、叫んで座り込んだ。正直言ってとても恥ずかしくて悲しかった、、、」

「息子の帰りが遅くて、外が真っ暗になっても帰ってこなかったので、とても心配した。」

 お父さんは、これを書き始めてからは緊急性がない限りは、子供を叱ったり、指示したりすることは、やめるように心がけている。むろん、ブログでも子供に命令、提案はしない。ひたすら気持ちを書いていている。

<独り言ブログの効果>

 奥さんと子供は、このブログを見ることで、日々のお父さんの行動や感じていること、そして、お父さんの愛情を感じる。さらに、

・日頃は見えないお父さんの仕事の大変さ

・自分の行動がどのようにお父さんを悩ませているか、心配させているか

・お父さんが自分に対して言っていること、やっていることの本当の意味

を「察する」、「理解する」ようになるのだ。

 これらは、言葉やメールで直接伝えることは逆効果だ。独り言だからこそ、効果がある。

<なぜ直接言うより、独り言の方が効果があるか>

 ブログには、「命令」「指導」「提案」「非難」など、子供を服従させようとすることは一切書かず、単に

「それで自分がどのように困るのか」

を嘆くのだ。

 お父さんが他人に対して、あるいは独り言のように話しているのを聞いて、子供が察して自分なりに、どう行動するか考えてもらうことが大切だ。

 お父さんは、「独り言ブログ」を利用することにより、言いにくいことを息子や奥さんに直接言わなくても、感じてもらえる事が出来るようになってくる。

 子供は、顔をあわせて「すぐに○○をしなさい」と言われると反発するし、「困っている」という感情も、メールや言葉では、伝えにくいものだ。

 子供は小学生になると、少しずつ親に依存せずに自分で考え、自発的に動けるようになってくる。自分が直面する学校や友達との付き合いの世界において、親の言うことは必ずしも正しいわけではないことが直感的にわかってきて、

「言うこと聞かないと、ご飯食べさせない」

「言うこと聞けば、おもちゃ買ってあげる」

など、親からの罰や褒美に屈服して動く親の権力の傘の下にいる、ことを窮屈で屈辱的なことだと考えるようになり、自分の考えで動く「自由」を求めて反抗し始めるのである。

 親からの権力による指示、指導、命令、といった抑圧に抵抗できる力を子供が得たときに起こす子供の反乱が「反抗期」だ。

 お父さんの「独り言ブログ」は、子供を怒らず、指示せず、親の権限や思い込みを押しつけずに子供が

「親の気持ちを察して」

「自分で考え」

「自分で行動を選択」

することで、自発的に、積極的に動くようになり、結果として「しつけ」という意味でも重要な役目を果たす。

 私たちも週末などに「そろそろ風呂掃除しようかな?」と思っているときに奥さんから「風呂掃除してよ。やるって言ったでしょ!」と言われて、「今、やろうと思ったのに!そういう言い方されるとやる気がなくなる」と感じたことが一度や二度はあるのではないだろうか。これと同じだ。

<独り言ブログのもう一つの効果>

お父さんの「独り言ブログ」を利用すると、

子供は、

「怒られたからやるのではなく、お父さんが困っていることをブログから察して、子供が自らの考えで、その解決に協力しようとする」

という効果がある。 さらに、お父さんにとっても効果がある。

ブログに記事を書くことによって、

「自分の考えを冷静に整理でき、書くことによってストレスを解消する」

ことにも役立つ。

 また、ネットリテラシーの教育にも効果がある。 ブログを通じた親子のコミュニケーションの中で、自然に、将来ブログ、掲示板、SNSなどの利用して友達や知人とコミュニケーションする技術が感覚的に身につくからだ。

 次回は、親子の絆を強くする「アルバムブログ」の実践例を紹介する。

親子のネット利用、青少年のネット問題の記事一覧 → 子育てとIT、ネット問題

Comment(6)

コメント

面白いですね!
ウチでもやってみようと思います。

(自ブログのエントリで言及してTBしたのですが、pingが上手く送れないようです)

片岡さん
 コメントありがとうございます。
 ぜひ、試してみて、結果をフィードバックいただけると助かります。

いつも楽しく読まして頂いております。
私は子供はいませんが、コミュニケーションという意味では子供に限らず皆同じだと思うので色々応用はありそうですね。
(私もTBしてみましたがうまくいきませんでした)

AFTERZEROさん
 いつも読んでいただき、ありがとうございます。
本件に関する記事以外も含め、ブログの記事を読みました。 とても、面白いですね。 時々、見に行きますのでよろしくお願いします。
 トラックバックの件、事務局に問い合わせてみます。

吉田 賢治郎 様
いつも楽しく拝読させて頂いております。市川です。
拙稿にTBありがとうございます。
お父さんの「独り言ブログ」
良いですね。
電話だとすぐ言葉って消えてしまうものですし、Mailもプライベートすぎて...
私の子供が@ITエンジニアライフのコラムをコッソリ読んでいるのは、ブログとかコラムだと割とよそ行きの言葉なので、それが気に入ってくれているようです。
衆人環視のものなので、下手なことを書けないと言うこともありますが、読者に語りかける口調(子供から見て、親の別の一面)が良いのかも知れません。
今後ともよろしくお願い致します。

市川 朝之
 コメントありがとうございます!
>子供が@ITエンジニアライフのコラムを
>コッソリ読んでいる
 そうですか~。うちも「恥ずかしいから見ない」と言いながら、こっそり見ているようです。

 そうそう、ブログ開始1年おめでとうございます。
これからもお互いマイペースで続けていきましょう!

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