小学生に大人の問題解決方法を教える
息子が「Wiiの操作ができない」と騒ぎ、妻が「電池入れ替えてみれば?」といって新しい電池を入れ替えたり「電池の入れ方が悪いかも」「叩いてみれば?」「電線の差込みが悪いのかも」とあらゆる線をさし直したりしていた。
妻が、息子に指示して、片っ端からいろんなことをやってみたが、まったく直る気配が無い。
「長くゲームやりすぎて壊れちゃったんじゃない?」「あんた、リモコン落としたでしょー大切にしないからー」と息子を怒りはじめた。
そこで、私、お父さんの登場である。
息子に「大人のやり方を方試してみないかい?」と言ってみると、”大人”というキーワードに食いついて「教えて、教えて」と言ってきた。
大人の問題解決方法とは、
・冷静に落ち着いてロジカルに考える
・問題を一つづつ切り分ける
・順序だてて問題を絞り込む
・それぞれの関係(コミュニケーション)を疑う
・どうしても解決できなければ初心(買ったとき)に戻る
である。
私は日頃から、子供に、言葉でなく習慣としてこれを体得させるように仕向けている。自分で考えさせ、体得させるのだ。
今回のWiiの件では、以下のように話をした。
① 問題の切り分ける
絶対に壊れていない部分を探して、一つ一つ潰していくのである。
「リモコンくんと、本体くんのどちらが壊れて”ない”と思う?」と聞くと、息子は、「リモコンで電源押しても、本体の電気が入らないからー、リモコンがおかしいかもしれない。」と言ってきた。「本体くんは大丈夫だと思うね?」と確認。
② 仮説を評価する
では、本体が”壊れていない”かどうか試すように言うと、息子はリモコンを使わず、直接、指で本体くんの電源を入れた。 すると、テレビにWiiの初期メニューが映し出される。
「やっぱり本体は壊れていないみたい。」と息子。(ここで、”それだけ確認しただけでは本体が壊れていないとは言えないよ”などと言ってはいけない。)
そこで、リモコンを疑うことにして、リモコンの中で問題のない部分を探すように言う。息子がリモコンの電源ボタンを入れると「リモコンがピリピリピリッて光ったから、リモコンの電池くんは大丈夫みたい、でも、やっぱりリモコンから本体の電源が入らない」という結果になった
③ 問題のないもの同士の関係に問題がないかを考える
状況を整理させるために、現象を息子に言わせて見る。
「本体はテレビに映っているから壊れていないし、リモコンは光ったから電池はある。でも、リモコンを押してもWii本体の電源は入らない」
次に、切り分けたふたつの間の可能性を疑う。 まともな人間同士も関係が悪いことがあるのと同様に、両方とも問題がなくても二つの間のコミュニケーションが悪いとうまくいかない。
リモコンのボタンを押したら、どこを通って本体まで行くのか聞くと、
「リモコンの先っぽ、かな?から、なんか見えないレーザー光線みたいのが出てテレビの上に置いてある板がレーザー光線を受けて、それが、この(板についている)線を通って本体に行って、本体が動く、、えー、本体は動かないけど、本体の中が動く、、」と答えが返ってきた。
④ 関係に問題がないか、大丈夫なところから順番に調べる
じゃあ、リモコンから順番に問題がないかどうかチェックさせる。
「リモコンからレーザー(ではないが、、)は出てる?」「わからないけど、レーザーが出るところはふさがれてない」
「レーザーを受けるテレビの上に置いてある板はレーザーを受けてる?」「受けているかどうかわかんないけど、線は全部ささっているよ」
全部問題ないようである。(または、問題かどうかわからない)
ここまで、文章で書くと長いが、5分程度。
⑤ 最初に戻って再確認
全部、問題ないときは一番最初に戻ってやりなおすことを教える。
買ったときのマニュアルを出させて、リモコンの設定を見させる。
「買ったときに、リモコンを登録すると書いてある。 赤いボタンと本体の赤いボタンを押すんだって」 やってみるとリモコンが操作できるようになった。-----------
ここまでわずか数分。 妻にまかせて、あっちこっち、いじりまわしたりするよりよほど早いし、電源を入れたり落としたり、線をひっぱったり、叩いたりすることによる二次災害も防げる。また、息子の考える力がつき、かつ、問題解決した満足感も得られるのだ。
おさらいすると、大人の問題解決方法は、
・冷静に落ち着いてロジカルに考える
・問題を切り分ける
・順序だてて問題を絞り込む
・それぞれの関係(コミュニケーション)を疑う
・どうしても解決できなければ初心(買ったとき)に戻る
である。
大人である皆様にはあたりまえだろうが、この考え方は、ネットワークシステムのトラブル対応や職場での様々な問題解決手順と基本的には変らない。
まだ、子供達が反抗期になる前にぜひ、チャンスを見つけて試していただきたい。 相手が息子であれば、キーワードは「大人のやり方」「男らしいやり方」だ。