「企業内SNS・ブログ成功のための失敗と改善の繰り返し」そのものが企業文化とチームワークを創り上げる
様々な企業のSNS推進リーダーと話をするなかで、気づいたことがある。
ベンダーのWebサイトから発信されているような成功事例が極めて少ないことだ。
・なぜうまくいかないのか? これはこれでうまくいっているのではないか?
・そもそも、何のためにはじめたのか? 目標設定が悪いのか?
・根本的な問題は何なのか? どんな機能が不足しているのか?
・リーダーが悪いのか? 情報にインセンティブをつけるべきか?
・成功している企業は、なぜ、うまくいっているのか?
様々な疑問を持ち、私からもあらゆる情報を得ようと質問してくる。
推進リーダーたちは悩み、工夫し、調べ、様々人と話し合ってアイディアを出しながら実行していくが、なかなか思ったとおりの成果が出ないのである。
各部門から選出された推進リーダーたちは、SNSのコミュニティと定期的な意見交換会を通じて、ゴールの見えない永遠の課題に向かって、筋道を作るための様々なチャレンジしている。
<SNS導入の本当の効果>
そんな中、推進リーダー数名と食事をしながら会話している時に面白い光景を目にした。
「彼は最近、ちゃんと定例会に出てこないんですよー。 SNS成功のために、若者たちと飲まなくちゃいけないから、とかなんとか言っちゃって。 で、飲み会の報告を自分のブログに書いて、やった気になっているんです」
「君だって、聞きかじった営業管理部門の4Sとやらにはまってて、たまに定例会出てきても、そっちの話ばかりじゃないか」
「おまえなんんか、社長から”ちょっとSNSの状況教えてよ”とか”こんなことやれない?”なんていわれちゃって、ちやほやされて喜んでるし」
「そんなこと言ってるけど、彼は、自分の部だけで夕方に勉強会はじめちゃって、俺の部の若いやつに講師させてるじゃないか。 実は、あいつ必死で勉強してるんだよ。大変なんだから」
「この活動やっていると、現在の問題点とアイディアがどんどん出てくるので、SNS推進なんて後回しになっちゃうんですよ。 うちは問題が多いから」
皆、このSNS推進の定例会そっちのけで、それぞれが本業の改革に追われているというのである。 もう、定例会をやめたらどうか?と意地悪な質問をしてみた。答えは、
・SNS以外のいろんな活動のきっかもがこの推進グループの定例会だし
・SNSには関係ないこともこの定例会で相談して役立っている
・社長も数字の話の時の顔と、この推進グループの報告の時の顔はぜんぜん違う
・単に集まって飲み会したいだけかもしれない
だった。 だから継続するそうだ。
もう一つ「以前から、こんな風に話しあたり、社長や社員と話したり、改善活動をやっていたんですか?」と質問した。 答えはもちろん「NO」。
今回の会話で、私も彼らも初めて気がついたのだが、少なくともこの会社では
「企業内SNS成功のための失敗と改善の繰り返し、それそのものが自由闊達で風通しの良い企業文化とチームワークを創り上げ、Innovativeな企業に成長させている」
のである。 これは企業内SNSの最大の効果ではないだろうか。
私は、SNS導入前に利用してもらった、効果サーベイを再度行ってみることを提案した。 本人たちは気がついていないかもしれないが、間違いなく効果が出ているだろう。 経営者層に対して自信を持ってROIを報告できるはずだ。