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ガンと戦うことを決意をした先生からの手紙

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 長女が通う高校の担任である女性の先生から生徒たちに、

 前回の手術で摘出できなかった最も大きな腫瘍と戦うために長期の闘病生活に入ること、

受験前で皆に迷惑かけて申し訳ないが学校も他の先生たちも万全の体制で臨むので心配はいらないこと、

などの話しがあったそうだ。

 A先生は、新設された特進クラスの担任として、並々ならぬ努力をして1期生である私の娘たちを2年間半かけて育ててきた。 学校から大きな期待、保護者からのプレッシャー、途中で挫折して一般クラスに移りたいという生徒のケア、盗難事件やクラス内でのいざこざなどに悩みながらも、常に前向きに様々な工夫をして、生徒たちを育ててきた。

 娘も最初は不満をもらし、A先生と本気で口げんかをしたこともあったが、今では先生として、女性として、最も尊敬している。 2年生になると、クラスの生徒たちはこの先生の似顔絵と名前を書いたお揃いのTシャツを作って敬愛の気持ちを表すまでになっていた。 皆、A先生が好きなのだ。

 保護者たちも絶大な信頼をおいている。

 その先生がガンの治療のために闘病生活に入るというのである。

 長女は先生の話にショックを受けながらも、先生の前では、平然としていたかったようだが、気がつくと涙が流れ、嗚咽がもれはじめた後、気を失ったそうだ。 気がつくと過呼吸で倒れたらしく、みんなに抱えられていた。 A先生は、それほど娘の学校生活の大きな心の拠り所になっていたのだ。

 娘は帰るなりまじめな顔で「お父さん、お母さんちょっと、ここに座って!」と私たちを座らせて、このことを話した。 そして、先生が保護者へ宛てた手紙を私に渡した。

 生徒たちに説明をした後、短時間で、誠意と決意をこめて書かれた文章であることが感じられるものだった。

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(前略)、、、クラス一丸となって最後の文化祭を見事に成功させた○○特進一期生。 全員が立派な受験生として順調に歩んでくれましたこと、実にうれしく、ありがたく、保護者の皆様のご支援に改めて深謝するばかりです。

 さて、私事ではありますが、病との本格的な闘いに入らねばならなくなりましたこと、急ぎここに報告させて頂きます。 大切なこれからの時間のことを考えるたびに申し訳なさが募るばかりですが、他のクラスに先駆け、並々ならぬ苦労を積み上げてきた生徒たちの成果結実を信じ、何とか最短で、必ずや復帰し、援護射撃に回らせていただく所存です。

 今後に関しましては、、、、、(中略)

 なお、私自身の病状に加え、特進クラスの今の位置、受験生としての今後の進み方につきまして、本日、全員に直接お話をさせて頂きました。 精一杯、それぞれ現実として受け止めてくれた子供達が、いっそう強い心で第一志望現役合格へと進んでいけるよう、ご助言、ご助力賜りますよう切に重ねてお願い申し上げます。

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 先生に手紙を書くつもりで「頑張ってください」「早く元気になってください」、、、様々な言葉を書いていたが、どんな言葉もうすっぺらく感じられ、筆が進まずやめた。

何も出来ないが、「壮絶」と形容される戦いに勝って帰ってくることを心から願っている。 いや、信じている。 3月には先生が3年かけて育てた子供達の成果を、先生、保護者そして子供達で盛大に祝おうではないか。

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