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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

原子力論考(122)ゴジラじゃあるまいし・・・・

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日本学術会議の「高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会」が、原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物の処分についての新しい提言を公表したようです。提言そのものはまだ公式Webサイトには載っていないようですが、日経新聞に載っていた委員長インタビューを読んで目を疑いました。

――既存の最終処分では、仮に地殻活動で廃棄物を収めた容器から廃液などが漏れても、人間が居住する環境に届くまで非常に長い時間がかかるので、事実上影響はないとの考え方にも立っているはずです。

 「その考え方は甘い。地下深くの微生物に放射線が作用してその微生物を取り込んだ別の生物が地上に出てくるなど、人間界に及ぶ可能性はいろいろ想定できる。また人間のエゴで環境を汚していいのかという問題もある。そこまでのリスクを背負ってまで地層処分にこだわる必要はない」

ゴジラかよ、とツッコミ入れたくなった方が多いのではないでしょうか。たとえばここにも↓

池田信夫 blog : 今田高俊氏の恐れる「放射能エイリアン」
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51929624.html

まあ、ゴジラではなく微生物の話をしているわけですが、それにしても開いた口がふさがりません。それもこれも、現在の日本が、主に中東から遠路はるばる運ばれてくる原油に大きくエネルギーを依存していることを忘れてしまえるほどに、社会的にまだ余裕があることの象徴なのでしょう。

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