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【図解】コレ1枚でわかる人工知能の3つのアプローチ

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米ダートマスに研究者たちが集まり、「やがて人間の知能は機械でシミュレーションできるようになる」との考えを提唱し、これを"Artificial Intelligence(人工知能)" と名付けたのは、1956年のことでした。これを切っ掛けとして、企業や政府から多額の研究資金を集めることができたのですが、その後の研究が順風満帆だった訳ではありません。様々なアプローチが試みられてきましたが、必ずしも十分な成果をあげられず、歴史の中に埋もれてしまった研究も少なくありません。その経緯については、こちらに詳しくまとめましたので、よろしければご覧下さい。

そんな中で、いまも生き残り成果をあげている3つのアプローチについて紹介します。

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ルールベース・アプローチ

専門家の知識やノウハウを人間がルールとして記述し、そのルールに従ってコンピューターに処理させようというアプローチです。「エキスパートシステム」と呼ばれています。例えば、計測結果から化合物の種類を特定する、複雑なコンピューターのハードウェアやソフトウェアの構成を過不足なく組み合わせるなど、特定の領域に限れば、実用で成果をあげられるようになりました。しかし、そもそも人間の知っていることが多すぎることやそれをどう表現するか、また解釈や意味の多様性に対応することは容易なことではありません。そして、「知識やルールを入れれば賢くなるが、知識をすべて書ききれない」という限界に行き当たり、この取り組みは下火となってしまいました。

その後、この考えを業務システムに応用しようという取り組みは続き、BRMS(Business Rule Management System)として、いまもこの考え方は生き残っています。例えば、規則の組合せが複雑な保険審査や保険料の算定、あるいは、携帯電話の割引条件や料金算定などルール変更が頻繁な業務システムに使われています。

このようなアプリケーションは、処理ルールをプログラムにロジックとして埋め込んでしまうと、ルールが変更されるたびにプログラム修正をしなくてはなりませんので大変手間がかかります。そこで、ルールだけを集めたデータベースとルール処理エンジンをアプリケーション・プログラムの外に置いて、アプリケーションから必要に応じて呼び出すだけで使えるようにするという仕組みが作られました。これが、BRMSです。

これを人工知能と位置付けるかどうかは意見の分かれるところです。ただ、ルール生成(人間)と推論処理(機械)の組合せで実現した「エキスパートシステム」の考え方を受け継ぐものとして取り上げてみました。

統計・確率論的アプローチ

データに内在する因果関係を統計的手法で分析し、その因果関係を確率として表現するアプローチです。

例えば、コンピューターにイヌやネコを判別させるに当たり、人間がその特徴を抽出し判別ルールを記述するのではなく、コンピューターに大量の画像を読み込ませソフトウェアのアルゴリズムで特徴を抽出し判別ルールを生成しようというアプローチです。これは機械学習と呼ばれています。

この機械学習によって抽出された「イヌの特徴」や「ネコの特徴」と未知の画像から抽出された特徴をソフトウェアで比較し「98%の確率でイヌの特徴と一致」しているから、「これはイヌだと推論」しようというやり方です。

既に多くの実用事例があり、例えば、自動運転車のまわりを撮した画像から、障害物や歩行者の存在を検知する手段として、また大量の異なる言語の対訳文書を機械に読み込ませることで、使われる表現の出現頻度の一致具合の確率から文法規則を使わず言語翻訳するといった使われ方などです。他にも機械や設備の故障診断、レストランの待ち時間の予測、新製品の販売量の推移の予測など、実用事例がどんどん増えているアプローチです。

脳科学的アプローチ

脳科学の研究成果を取り入れ、脳の神経活動を再現する数学モデル(ディープ・ニューラル・ネットワーク)を使い、データを処理しようというアプローチです。ディープ・ラーニングとも呼ばれています。画像認識に関しては特に研究が進んでおり、既に人間の能力を超えるほどに精度は上がっています。また、最近では、音声認識での成果も上がりつつあります。

例えば、レントゲン写真を画像認識し病巣を見つけ出す、音声をリアルタイムで他言語に翻訳するといった実用例が登場しています。

まだ、その成果は、画像認識や音声認識などの特定の分野に留まっていますが、適用事例は増え続けており、今後の発展が大いに期待されるアプローチです

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最新版【2015年12月】をリリースいたしました。

今月の目玉は、「オンプレからパブリッククラウドへの移行」について、ドキュメントを追加しています。移行をご検討のユーザー企業・情報システム部門の方は企画書や経営会議の資料として、SIerの方はお客様の提案資料としてご利用頂けると思います。

なお、今月より「テクノロジー編」を「インフラ&プラットフォーム編」と「サービス&アプリケーション編」の2つに分割致しました。(全438ページとなり資料探しに手間がかかるようになったため)

【インフラ&プラットフォーム編】(246ページ)

  • ハイブリッド・クラウドについて、各社の取り組みを比較しやすいように資料を作り直しました。P44
  • PaaSについての解説をわかりやすく修正しました。p.55-56
  • 「パブリッククラウドへの移行の勘所」と「パブリッククラウド移行の企画書・提案書の作り方」の章を新しく追加しました。SIerにとっては顧客提案資料として、また、ユーザー企業の方は経営会議や企画会議の資料としてご利用頂けると思います。p.77-94

【アプリケーション&サービス編】(192ページ)

  • 誤字・脱字等を修正しました。内容に大きな変更はありません。

【ビジネス戦略編】(74ページ)

  • 「SI事業者の成功要因の変化」を追加致しました。
  • 「PEST分析と5フォース分析で見るクラウド化」を追加しました。
  • 「事業再構築の逆Cカーブ」と「SIビジネスへの適用」を追加しました。
  • 「基幹業務のAWS適用事例」を追加しました。
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