主にテクノロジー×ビジネス×イノベーションについて考察・刺激・アイデアなどを

オープン×突出 人口7万人の鯖江が全国・世界から注目される理由

»

小生は地縁のない福井県鯖江市のNPO法人エル・コミュニティ(代表 竹部美樹)の役員を2012年9月の発足時から務めています。当時から鯖江の可能性にしびれていたから役員をかってでたわけですが、本NPOも鯖江も期待を上回る進歩をしてきました。

電脳メガネサミット」なる鯖江でのイベントを、その第4回は2018年2月に東京・虎ノ門でエル・コミュニティが主催し、名だたる企業を含む参加者で満員御礼となりました。

小さな地方都市のイベントを東京のど真ん中で?と不思議に思いませんか。なぜ鯖江が他地域や大企業から注目を集めるのか、なぜ地縁のない小生が鯖江を応援しているか、紐解いてみましょう。

オープンに外の人材を巻き込む力

いまは共にエル・コミュニティ役員の勝屋久さん(プロフェッショナル・コネクター)・福野泰介さん(jig.jp社長)に誘われて、初めて鯖江に行ったのが2010年。「鯖江をシリコンバレーにします」と言う福野さんに、半分アホかもしれんがかオモロイやつと感じ、「とにかく来て!」と勝屋さんに説得されて行ってみたわけです。

すると、人々が超オープンで、つながり力が強い。地方では無意識のうちに、おらが街の自慢を押し付けたり、見えない壁を外の人につくったり、といったこともあるのですが、鯖江ではよそ者で変わったことを言う小生みたいな人ともどんどんつながり、こっちが吸い付けられていく。仲間に同化してくれるんですね。それで打ち解けてしまいました。

翌2011年7月の「さばえIT推進フォーラム"未来が見える、ものづくりと情報発信のまち鯖江"」に呼んでいただいて、「鯖江は、つながってる感があるラブ・コミュニティー。やるやる感が素晴らしい。」と自然に発言しました。そこからエル・コミュニティ発足メンバーに加わることに。

鯖江は、日本で初めて自治体のオープンデータアプリを2012年に出すなど、オープンデータのパイオニアとして注目されています。その先進的な鼓動に、引き付けられました。そして、データだけでなく、人でもオープンなところが鍵となりました。

オールジャパンが鯖江に集まった

話を「電脳メガネサミット」に戻します。

2012年にその初回が開かれましたが、人口7万に満たない鯖江のイベントに全国各地からプレゼンターや観客が集まったのです。アニメ賞を総なめにした「電脳コイル」の製作委員会プロデューサーの徳間書店映像事業部長・三ッ木早苗氏、ウェアラブルコンピュータ研究開発機構理事長で神戸大学教授の塚本昌彦氏、NTTドコモと電通のモバイル・マーケティング戦略合弁会社、D2C社長の宝珠山卓志氏、フジテレビ・デジタルコンテンツ事業部長の種田慶郎氏、セイコーエプソンのビジュアルプロダクツ事業部エキスパートの津田敦也氏、佐賀県CIO・森本登志男氏(肩書は当時のもの)。観客には、やはりウェアラブルコンピュータを開発するブラザーの方、携帯電話研究家の木暮祐一氏などの顔も。

多くが、「どうやって、これほどの人を、東京から遠い福井県鯖江市が引き寄せたのか?」と驚きました。

同年4月にグーグルがウェアラブル・グラス開発を発表した、そのすぐ後のタイミング。この革新的なテーマを真っ先に取り上げ、2012年の「第二回さばえIT推進フォーラム」を「電脳メガネサミット」として開催したのです。ちなみに、鯖江はメガネフレームの産地として国内96%、世界約20%の市場シェアを持ち、特にハイエンドでは独占的です。

電脳コイルの三ッ木氏、電脳メガネを商品化したセイコーエプソン津田氏、鯖江から牧野百男市長ならびにメガネの三光工学・三輪英樹社長とITのjig.jp福野社長らのパネル登壇者は、未来の可能性を議論し、話がかみ合っていて聴衆を飽きさせることはなく、よくある東京でのイベントよりもずっと充実していました。Ustreamで三ヵ国語生中継され、かなりのアクセスが世界から集まりました。

そして、近未来の電脳メガネのアイデアを全国から選抜された9チームがプレゼンしましたが、こうしたものを見尽くしてきた神戸大学・塚本教授にアイデアの新しさや創意を評価いただくなど、印象的なものとなりました。実際に、試作品の共同開発が決まったり、本サミットから世界に打って出たチームも生まれました。

突出したことを大胆にスグ実行する

小生は、「電脳メガネサミット」の構想を発案者の福野氏から聞いたとき、「えっ、このテーマで本当にやるの?」と、思わず聞き返しました。

電脳メガネを商品化したセイコーエプソン津田氏(世界が注目のスマートグラス「MOVERIO」のリーダー)は、「誰もまともにとりあってくれないときに、鯖江のサミットは本当に勇気づけてくれた」と当時を振り返ります。

つまり、実に先進的なテーマを、誰もとりあげない早期に、本気で実行したのです。

鯖江には、大学はなく、産業クラスターはおろか、地域振興に打つ手なしとなりかねないような条件です。そういった地域が前進するには、多くの人がスグ納得するようなことをやっていてもラチがあきません。「いったいなに考えてるの?」と思われるくらい、突出したことに取り組むからこそ、全国の注目を集め、人が引き寄せられるのです。

そう言えば、話題になった「JK課」も、当初は色々と批判もされましたが、よい結果を生んでいます。

そして、東京でやってください、という多くの声を受けて、第4回サミットの東京開催となりました。

鯖江の突出した動きは、オープンデータ、電脳メガネに続き、新しいトライも生まれています。

福野氏が提唱した安価なコンピュータであるIchigoJamや3Dプリンターが使えるITものづくりのHana道場(竹部代表が中心となりエル・コミュニティが運営)は、こどもたちのIT教育の先進例をつくろうとしています(参考:中学生がロボットを製作、鯖江の「Hana道場」が面白い理由 )。また、日本だけでなくソフトウェアのSAPなど世界企業を含む多くの組織から注目いただき支援を受けています(参考:インテルもヤフーも、なぜ企業は「鯖江市」を応援するのか?)。

「突出」は企業で言えば戦略ですが、企業経営では体制も大切です。鯖江は、こうした尖ったことにも理解を示しサポートする牧野百男市長はじめ鯖江市チーム、そして福野氏や竹部氏はじめ活動のチャンピオンたちがすばらしい。さらに、こうした鯖江の人々が地域外の人や組織とつながった「オープン」なフォーメーションが、功を奏しています。

ちなみに、ちょっと前に、世界の地域活性のチャンピオンを終結させたいというベルリン市の要請を受けて、鯖江市のCIOである牧田さんをおつなぎしてベルリンまで行っていただきました。超オープンって面白いですよね。

以下は、「電脳メガネサミット」2018 in Tokyo の模様:

IMG_5166.JPG

IMG_5106.JPG

IMG_5121.JPG

IMG_5128.JPG

第1部パネルディスカッション
「めがね型ウェアラブルの現況と展望」
(モデレーター)
福野 泰介氏(株式会社jig.jp 代表取締役社長)
(パネリスト)
津脇 慈子氏(経済産業省)
鈴木 健一氏(株式会社テレパシージャパン 代表取締役)
津田 敦也氏(セイコーエプソン株式会社 HMD事業推進部 部長)

第2部パネルディスカッション
「めがねのまち鯖江だからできる次世代産業創出」
(モデレーター)
福野 泰介氏(株式会社jig.jp 代表取締役社長)
(パネリスト)
牧野 百男氏(鯖江市長)
小松原 一身氏(株式会社ボストンクラブ 代表取締役)
竹部 美樹氏(NPO法人エル・コミュニティ 代表)

IMG_5159.JPG

IMG_5133.JPG

IMG_5136.JPG

製品紹介5分プレゼン
アクセンチュア株式会社
アルプス電気株式会社
株式会社Enhanlabo
株式会社OTON GLASS
株式会社Blincam
VUFINE,INC.

参考記事

さばえIT推進フォーラム

オープンデータの鯖江市が取り組むIchigoJam+sakura.ioの公共交通IoT | ASCII

北陸のオープンデータシティ・鯖江市が先端を行く理由。 | Telescope Magazine

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する