徳末Workday社長・Pivotal会長とのキーノートとオープンデータ・パネルに登壇しました
2月19日(水)にオープンイノベーションフォーラム「豊洲の港から」by NTTデータで、キーノートと「オープンデータ」パネルのモデレーターをやりました。ベンチャーと大企業をつなげる本フォーラムは、今回は特別版の“One Day Event”。キーノートの徳末Workday社長・Pivotal会長は、小生自ら提案し、依頼しました。
eビジネス推進機構さんのサイトに以下(一部)の様にレポート(by電波新聞)されてます。
キーノートスピーチは、「オープンイノベーションを生み出す新たなビジネス」をテーマにWorkday社長の徳末哲一氏と、本荘事務所代表の本荘修二氏(ナビゲータ)が登壇した。
本荘氏は日米で企業アドバイザを務め、さまざまなベンチャー企業を育てるメンターとして活躍している。
本荘氏は「従来ベンチャー企業側からは、エンタープライズ系のビジネスは突破口がないように見えて、コンシューマ系ビジネスに勢力が向かっていたが、米国では数年前からエンタープライズ系ビジネスに顕著な現象が出ており、チャンスが広がっている。クラウド、ビッグデータ、セキュリティなどのイノベーションが起こり、エンタープライズ系のベンチャー企業がコンシューマ系のベンチャー企業を凌駕している」と最近のトレンドを示した。
徳末氏はシリコンバレーの文化的素地を説明。「シリコンバレーには、独自のオープンイノベーションに対するありとあらゆる素地ができている。スタートアップ企業が失敗しても、その失敗がすべて勲章になっていく。失敗しても、それがマイナスになるのではなく、失敗を糧にすれば、次はうまくいくという感じで、ベンチャーキャピタルを含めて、そういう雰囲気がある。とんがっているものに対してのエコシステムができあがっている」と述べた。
例えばグーグルは、グーグルマップ上でストリートビューを展開しているが、まさにシリコンバレーを象徴するようなサービスだ。
ストリートビューを展開するには、少なくとも1000億円以上はかかる。
グーグルは、儲かるかどうかわかならないサービスなのに、「だれもやったことがない」「前例がない」という理由で社内ベンチャーとしてスタートさせた。こういうカルチャーが同社の原動力になっている。
以上の点を踏まえて徳末氏は「シリコンバレーの先端企業は、ROI(リターン・オン・インベストメント)よりもROC(リターン・オン・クールネス)、つまりどれだけ冴えているかを基準にお金を出すところがある。ROIは、筋道が見えており、リスクは少ないが、付加価値も少ないという論理で、ROIという従来の発想ではないところからスタートする傾向がある」とし、その上で「現在は、シリコンバレーの文化と、ほかの地域の格差が広がっているような気がしている」と話す。
徳末氏は、日本のベンチャー企業へのアドバイスとして、「シリコンバレーを無視して、スタートアップすることはあり得ない。日本の市場を前提にするのではなく、1人で会社を立ち上げるとしても、英語でサービスをつくり、世界の人々に届けるようにするなど、グローバル市場を前提にするべきだ」と話した。
また大企業へのアドバイスとして「アプリなどでも、アイデア+αがあれば、億単位のお金が入ってくる。米国ではそういう事例がたくさん出ている。大企業には、スキルと、スキルを活用する場があるので、アイデアが生まれたら、どんどん社内ベンチャーにして、育て上げるということを意識的にやっていけば、まったく新しいおもしろいものができるのではないか」と述べた。
小生は、連載「インキュベーションの虚と実」の記事「エンタープライズ市場の時代がやってきた! クラウドやUXの進化で新たに生まれるニーズとチャンス」 の話を底流に置き、エンタープライズIT分野のポテンシャルについて簡単に述べた。
そして、世界のCIOが予見するIT業界の“下克上”|ZDnetの「今後10年間で最も影響力があるITベンダーは、今はまだ見ぬ新興企業かもしれない」(米Gartner Peter Sondergaard シニアバイスプレジデント)を紹介し、既存ベンダーへの不満などユーザーが感じる問題があり、そこに技術革新によりビジネス機会が拡大していることを指摘。
昨年末のVentureBeat記事「Tech IPOs in 2013: Enterprise rules, and a watershed e-commerce moment」を紹介し、エンタープライズ分野のITベンチャーの台頭を述べ、例として、現在の時価総額US$でmulti-billion clubに入っているIPOから間もないエンタープライズ企業をあげた:
2012 IPO
・Workday (15.85B) 人事ERPをクラウド/SaaSで
・ServiceNow (8.74B) ITサービスマネジメントをクラウド/SaaSで
・Splunk (8.33B) データ分析プラットフォームをウェブで
・Palo Alto Networks (4.85B) 次世代ファイアウォール
2013 IPO
・FireEye (8.01B) ネットワーク・セキュリティ
・Tableau Software (5.24B) データ・ビジュアライゼーション・ソフトウェア
・Veeva Systems (3.81B) 製薬業界向けCRMをクラウド/SaaSで
この中でも、Workdayのストーリーは、復讐でスタートアップは成功するか?という稀かつスゴイお話しだ。
もちろん、日米の市場は相似形ではなく大きく異なる。そのままnaiveに鵜呑みにしてはいけない。だが、程度の差こそあれエンタープライズ分野にポテンシャルがあるのは間違いない。
徳末氏は、米国の起業家と長く仕事してきており、また最新のITイノベーションに取り組んでおり、もっと聞きたかったという参加者の声もあった。
オープンデータのパネルは、パネリストの福野jig.jp社長がブログ「クラウド×オープンイノベーションが生み出す未来」でレポートしているが、三人のパネリストが異なる視点でカオスの様相。これがオープンデータの実情を表しており、これからが楽しみな注目の分野だ。
本セッションのあとには、スタートアップのショート・プレゼンがいくつか。