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最近チャットツールが注目されています。話題に応じて複数の部屋をすぐに設定して社内や社外の人と適切なコミュニケーションを構築できるほか、タスク管理、大容量ファイルのやりとり、そして電話映話会議ができるタイプもあります。そんなツールを開発している会社での、チャットでワークする日々を皆様にご紹介します。

借り暮らしに未来はあるか? 不動産業界シンポジウム「ハ会第3回」その3

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「賃貸住宅のアカルイ未来」

 討論第二部のプレゼンテーションは、株式会社ブルースタジオの大島芳彦氏。各種のアカルイ事例紹介となった。

 大島氏は賃貸住宅というビジネスはサービス業になるべきだと主張。単なる床の賃貸から、過ごす時間の販売という視点で考えるべきだと語った。

 ビジネスライクに言うと賃貸住宅とは債権・債務の関係になってしまうが、そうではなく、住民同士のシビックプライド=誇りと愛着の共有であるべきだと言う。その土地、その住宅に共同で住むことへの誇りと愛着の共有、ということだ。

 そして借りる人と、オーナー・住宅との関係では、相思相愛住宅であるべきだと語る。それは入居者の共感を呼ぶデザインであったり、能動的な入居者のネットワーク構築をうながす、もっとクリエイティブな賃貸住宅管理であったり。

 下記サイトからダウンロードできるプレゼン資料を見ていただくとわかるが、ブルースタジオやアートアンドクラフトによる、クリエイティブな賃貸管理、ホテル業へのコンバージョンなどの事例が紹介された。

オーナーの意識と賃貸管理の進化

 大島氏のプレゼンテーションをベースに議論が進められた。

 テレデザイン代表の田島則行氏は、車でもセダンだけの時代は終わっている、多様化したニーズの取り上げをやっていい、東京R不動産のユーザーは自分のニーズを考えている人が多いのでは、と語った。

 (株)レンターズの加藤哲哉氏((株)ネクストの執行役員)は、メディアの影響もありニーズが多様化している。以前の不動産会社は人に合わせて物件をマッチングさせていたが、今は物件に合わせて人を探すようになってきていると語り、それぞれ"アカルイ"未来の形は多様だろう、という論調だった。

 では実際のオーナーはこの状況をどう考えているのだろうか。

 全国賃貸住宅新聞社の榎本ゆかり氏は、ターゲットを絞ることが怖いオーナーも多いし、ニーズの汲み取り方が分からないと言う。大島氏も、オーナー向けセミナーで話をしてもなかなかオーナーからの問合せがないと嘆いている。

 田島氏は、他と同じものがいいというのは新築神話、下がっていく時代では他と同じものはだめだと説く。

 大島氏は、リビタのように個性的なサブリース会社がもっと増えるといいのでは、と語り、株式会社リビタ 常務取締役の内山博文氏は、管理フィーとして例えば3%では少なすぎる、6~10%程度あってもいいのではと述べ、管理会社はこれまでユーザー目線ではなくオーナー目線、賃貸管理のメニューをもっとオープンにし、オリジナリティある賃貸管理が増えると良いとした。

 東京R不動産の吉里裕也氏は、てPM(プロパティマネジメント)会社=管理会社が、エンドユーザーが負担したくなるようなサービス・管理が広まるよう、国が助成して育てるべきだと語った。

愛と誇りだけではないレベルアップ

 結局のところ借り暮らしの側にも、その場所・その建物にその隣人と住まう意識の高さがあったほうがいいという結論に落ち着いた。

 そして貸す側のほうも、ただ貸すのではなく、借り暮らしたちが意欲的に借りて住めるような環境の整備、そこに住むことで得られる価値ある時間の提供が求められるだろう、ということだ。

 もちろん全ての人がそうなるわけでもないし、そうならなければならないとは言わない。車やPCを単なる機能として見る人もいれば、愛着を感じる道具として使う人もいるのと同様だ。

 アリエッティたちは、人間に見つかったら余計なトラブルを防ぐためにも、引越しをしなければならない。そういうルールを自ら持っている。貸す人と借りる人の双方がうれしい、ちょうどいいバランスの在り方が、わかりやすい社会の常識になるといいのだろう。このシンポジウムがそのきっかけのひとつになれば幸いだ。




※プレゼンテーション資料は以下よりダウンロードできる

ハ会



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